内容説明
日本には数え切れないほどたくさんの山があり、そのどれもが、その山独特の顔を持っています。鋭いピーク、のしかかる岩壁、切り裂かれた深い谷、なだらかな高原のお花畑、穏やかな裏山―。山が見せるさまざまな表情を読んで、山の個性が生み出されてきた由来を考えます。
目次
1 山の国
2 日本の山・世界の山
3 川に刻まれる山
4 雪国の山
5 凍土の山
6 氷河の山
7 山とのつきあい
著者等紹介
小疇尚[コアゼタカシ]
1935年兵庫県生まれ、中国山東省、北海道育ち。明治大学名誉教授。専門は自然地理学、地形学で、日本の山地のほかヒマラヤ、アンデス、スピッツベルゲン、カルパティア山脈などで研究してきた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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翔亀
45
日本の近代登山史(特に日本アルプス登頂)は、測量士と西洋登山を移入した登山家、そして植物学者と地質学者が開拓したという。本書はその系譜を継ぐ"登山する地質学者"が、山を登りながらその特質や成り立ちを解明する。地質学というと、日本列島の誕生など地殻変動というスケールの大きい話はよくあるが、もう少し身近な個々の山を取り上げた目からうろこ感がいい。川や凍土や雪や氷河や植生が山にどのような作用を及ぼしたかが具体的な山の姿を示しながら説明される。ここまでわかるのか、と見事だ。これは登りたくなるではないか。2015/08/03
金監禾重
2
日本と世界各地の山の形の比較が面白い。大陸の平野と日本の平野は全く別物で、日本の平野は大陸で言えば山の地形の一部のようなものだ。一連の山を次々と登頂する「縦走」は日本の山の特徴に適した登山文化で、ヒマラヤやアルプスでは非常に困難だそうだ。2018/05/11
Yoshi
1
カール地形のメカニズムや山へ氷河のもたらす効果などが分かりやすく書いてありようやく理解した。 また地面が凍ったり、岩が凍ったりすることにより作られる地形や岩の仕組みなども興味深かった。 山の地形が何によってもたらされたかを想像するのに非常に面白い本だった。2022/07/21