出版社内容情報
「体外受精」は,医療技術だけでなく,ひろく親子関係,借り腹など,社会,法律,倫理の問題にかかわっている.立場や考え方の違う人たちのはげしい賛否の討議を経たオーストラリアでの実情を,本書はつぶさに伝える.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きぬりん
3
原著刊行当時(1982)IVFの最先端であった豪モナシュ大を中心に編まれた、IVFの倫理に関する論考集。シンガーとクーゼを除けば神学関係者からの寄稿が多いが、強硬な反対派は少ない。余剰胚の処遇、性行為と生殖との分離といった宗教的教義に関連する問題以上に、滑り坂(遺伝子操作やクローンに道を開く)の脅威が示されているほか、エンハンスメントへの懸念や、人間性をめぐる2つの見方(被贈与性vs創造性)の対立など、今日の議論に通ずる論点がすでに現れているのも興味深い。当時の生命倫理で哲学者が幅を利かせた理由もわかる。2024/11/24
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