感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
142
そこに生息する動物の分布と、そうなるにいたった歴史を考察するのが動物地理学。本書は、この分野では質的にも、また人数の上でも他を圧倒する京都大学の先生たち13人が、それぞれの専門領域を分担する形で執筆している。哺乳類あり、爬虫類あり、昆虫ありとバラエティに富んでいるし、絶滅種の問題や、人為的な環境破壊など示唆にも富む。ただ、多人数で書いているために、全体としてはカタログ的なものになってしまい、読む側の思索の深まりや、あるいは研究者の戸惑いや躊躇いが感じられないものになってしまったのは大いに残念である。2014/09/23
calaf
13
なるほど、動物の分布によって、地形その他の知識が得られるのですねぇ...言われてみればその通りかも。さらに最近では、DNAを用いたより正確な分類が可能になってきているらしいです。しかし一方、絶滅等によって失われていく生物種も...うーむ...2013/08/29
Akihiro Nishio
4
動物地理学という聞きなれない学問を、一般の人にもわかりやすく解説した本ということである。たしかに13人の著者が書く、それぞれの章はわかりやすいのだが、だいたい一人が1つの動物(哺乳類の話は少ない)の話をする上に、聞いたこともないマニアックな動物が多いので、あまりイメージができず、全体として動物地理学がどういうものかはわからない。自分の読み取ったところでは、動物地理学という全体があるより、それぞれの動物について動物地理学的見方があるという雰囲気だ。2014/10/10
未来来
3
空間的、地理的に動物がどのように分布を変えていったのかを研究する動物地理学の本。書名通り、日本に現在あるいは過去生息した動物が何処からやって来て現在のような分布に至ったのかをデータを元に考察しています。絶滅種に関してはその原因に関する説が挙げられています。複数の著者により書かれており、内容は幅広い一方で一つが短く物足り無さや説明不足を感じます。動物地理学を紹介する為に書かれているので仕方無いのかもしれません。《大学図書館》2009/11/13
じゃすてぃん
2
動物地理学の研究者のそれぞれの研究成果.分かりやすく書かれていて、難しい内容ではなかった. 読むと日本には大陸にいるのとは違う固有種が多いこと、沖縄や伊豆諸島にはさらに固有種が多いこと、その境目がどの辺りなのか、なぜそうだと考えられているのかがわかる. 日本にいる種の大陸にいる近縁種や固有種の分布を調べると日本と大陸がいつごろ陸で繋がっていたのかが、推定できたりするらしい.2021/07/03