内容説明
「読書とは他人にものを考えてもらうことである。一日を多読に費す勤勉な人間はしだいに自分でものを考える力を失ってゆく。」―一流の文章家であり箴言警句の大家であったショウペンハウエル(一七八八‐一八六〇)が放つ読書をめぐる鋭利な寸言、痛烈なアフォリズムの数々は、出版物の洪水にあえぐ現代の我われにとって驚くほど新鮮である。
目次
思索
著作と文体
読書について
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産巣日(むすび)の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ねこ
119
著者のショウペンハウエルはかなり辛辣に私たちを戒める。200年程前に活躍した哲学者だ。本書は「思索」「著作と文体」「読書について」で構成されている。本に対しての基本理念は歴史ある名著を深く読み解くべきである!真理は最も美しく簡潔に表現されているほど、その与える感銘はいよいよ深い!熟慮を重ねることによってのみ、読まれたものは、真に読者のものになる!反復は研究の母なり!強い口調が印象的でした。罵詈雑言と思える部分も多くあった本でしたが現在でも読まれている指針的書物であることは間違い無い本です。2022/06/08
イノ
15
本を読んでると馬鹿になるというどこかのレビューから。 多読をするな。古典を読め。新書は金と時間の無駄。悪書を読むな、良書を何度も読めなどレビュー以上に辛らつに書いている。もはや悪口。 読み手だけでなく書き手も金儲けに走る。無駄に文章が長いだけで無意味。文体の乱れ等々同じくらい批判している。 しかしこの考えにいたるまでには多く読み込んでいかないとたどり着けないような気がします。 今も通じる考えさせてくれる良書。2016/02/18
ののたま
10
著者の時代と、現代では「文学」は共通する部分もあるが、様相が異なるのではないか。▲表現活動全般を「文学」と訳されているのであれば、現代のネットメディアも「文学」に分類されるのだろうか。匿名の書き込みにあふれ、責任を持たない書き込みも多い現代に置いて「文学」とどう関わるべきなのか考えてみるきっかけとなった。▲この書き込みも著者にとっては誤った解釈かもしれないので、別訳含め2週目いきたい。2025/01/25
Schuhschnabel
8
「思索」と「読書について」は、問題意識において共通であり、物知りになるためだけに本を読み漁ることを戒め、読書を思考という主体的な営みにしていくべきであることを説いている。多読に追われて自分の頭を使う機会がないという状況を想像すると、どうしても『モモ』の灰色の男がはびこっている世界をイメージしてしまう。「著作と文体」では、ひたすら国語改革者とフランス語をディスりつづける。たまに読み返してみると発見があるかもしれない。2018/02/27
小島輝彦
7
生身で感じるもののことも、もっと大切にしようと思いました。