内容説明
アリストテレースの『詩学』は悲劇の機能・構造を重視し、英雄をわれわれと同じ人間として扱い、神・運命などギリシア文学の伝統的な要素や道徳観を考察の対象から省くことによって文学理論としての普遍性を持つにいたった。後世のヨーロッパ文学、特にフランス演劇に大きな影響を与えたホラーティウスの『詩論』を併収。
目次
詩学(アリストテレース)
詩論(ホラーティウス)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
春ドーナツ
17
第一章訳注1「(・・・)第二巻では(悲劇との関連において)喜劇について論じられたと推測されるが、この部分は散逸したため詳細は不明である(・・・)」 1327年、北イタリアの某所に佇むベネディクト会修道院にある書庫が炎上しなかったなら、私は本書を読まずにいたかも知れない。アウグスティヌス(どなたですか? 後で調べよう)みたいなことが言えたら良いけれど、そうは問屋が卸さない。「誰にも尋ねられなければ答えは分かっている。だが、それを尋ねる者に説明しようと思うと、それができない」(エーコの世界文明講義から引用) 2019/03/25
ヴェルナーの日記
3
ギリシャ文学(悲劇・叙事詩)の書き方(表現方法・韻律・筋など)を当勢の義気作家等の作品を挙げて、アリストテレース自身のギリシャ文学を批評している。一方、ホラーティウスは、ローマ文学を批評しているのだが、どちらかといえば、アリストテレースより、毒舌振りが強く、ローマ文学は趣向の凝らし過ぎで、もっと簡潔なギリシャ文学を見習うべきだと述べている。ただ、ホラーティウスの「詩論」は、文体自体が詩的な感覚を漂わせる作品になっているのは、少し皮肉っぽさを感じる。2013/03/21
長岡紅蓮
2
アリストテレスが詩作について論じた書物。再現することは、人間に備わった自然な傾向である。詩作とは悲劇と喜劇の行為者を再現するために存在する。 すでに起こったことを語ることではなく、起こりうることを語るのが、詩人の仕事。すでに起こったことを語るのは、歴史家であり、起こる可能性を語るのは詩人である。2018/03/28
く
1
喜劇は劣ったものを悲劇は優れたものを書く2017/07/07