出版社内容情報
厳格な規律に縛られた17世紀ボストンの清教徒社会に起こった姦通事件を題材として、人間心理の陰翳に鋭いメスを入れながら、自由とは、罪とは何かを追求した傑作。有名な序文「税関」を加えた。
内容説明
胸に赤いAの文字を付け、罪の子を抱いて処刑のさらし台に立つ女。告白と悔悛を説く青年牧師の苦悩…。厳格な規律に縛られた一七世紀ボストンの清教徒社会に起こった姦通事件を題材として人間心理の陰翳に鋭いメスを入れながら、自由とは、罪とは何かを追求した傑作。有名な序文「税関」を加え、待望の新訳で送る完全版。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
トッシー
3
題名を聞いたことがある程度で著者もどんな話かも全く知らなかった本ですが、ちょっとしたきっかけがあって興味を持ち、図書館から借りて読みました。序章が長くて少し戸惑いましたが、物語が始まったらどんどん読み進むことができました。聖書(ヨハネによる福音書8章)に出てくる姦通した女の話を思い出し、登場人物それぞれの罪深さや赦しについて考えさせられる一方で、クスッと(ニヤリと?)笑える部分もあり面白かったです。世に長く残る小説ってやはり違うなと思いました。いわゆる「古典」と言われる作品をもっと読みたいと思います。2021/03/16
よ
1
「税関」にまず苦戦。筆者が緋文字と巡り会うところからぶわっと駆け抜けてく感じでした。ことはもう起こってしまっていて、どうしてそうなってしまったのか、どういう思いがあったのか、ということは語られない。へスターははじめからただただ罪を犯した女性で、Aの文字を胸にどう生きるのか、罪は許されるのか、その罪は悪なのか、と。牧師は…いろいろと苦しんでいたようだけど死に逃げたのではと思ってしまった。2016/06/09
鳩羽
1
秘密を隠している方はその罪の重さに耐え切れなくなり、罪と恥を晒しながら生きることと耐えることがイコールになっている方は、もう強くしぶとくならざるを得ない。時代とか宗教を無視して言ってしまうと、男どもが囚われすぎという気もする。何を意味するのかよく分からない緋文字を、感染でもするかのように恐れたり忌避したりする周囲のリアクションがおもしろい。子供が興味を示してくるところも。2012/12/10
あや
0
やっと懸念の緋文字を読み終わった。現代では考え及ばぬ妙な三角関係に倒錯の気配を感じるのはともかく、ホーソーンの多義性には手こずる。ううむ。個人的に、ストーカーチックな元旦那と牧師の同居が果てしなく気になる……。いや、本筋は全然別なとこにあるんだけれども。2014/06/26
つゆ草
0
一度だけ犯した罪から逃れる事の出来なかった人たち。身を滅ぼす人と背負いながら凛と立つ人と苦しみの中から悟りをひらく人とがいた。2011/06/30