内容説明
おい地獄さ行ぐんだで―函館を出港する漁夫の方言に始まる「蟹工船」。小樽署壁の「日本共産党万歳!」という落書きで終わる「三・一五」。小林多喜二(一九〇三‐三三)のこれら二作品は、地方性と党派性にもかかわらず思想評価をこえ、プロレタリア文学の古典となった。搾取と労働、組織と個人…歴史は未だ答えず。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Matsumouchakun
1
この時代の労働者はこんな悲惨な待遇で働かされていたのかと驚いた。主人公をおかず、集団を描くとこういう書き方になるんだと新鮮だった。2015/02/28
駒子
1
ワイド版は非常に読みやすいです。一九二八・三・一五には小林多喜二自身の辿った道を思うと、ぐっとくるものがありました。2012/09/05
ホン
1
蟹工船、工船であり航船でないから航海法に触れない しかも工場法にも触れない 金儲けのためなら どんな手段をも考える 乗組員の扱いもソ連に抑留になった捕虜の人達よりもひどいようだ 実際にあった事件を題材にしているだけに 凄みを感じる。今の労働法もこういう事件を踏み台にして築きあげられたのかもしれない。この作者の小林多喜二も特高に逮捕され拷問を受け死んでいる。 悲惨だ。2011/09/29
なまちゅう
0
「おい地獄さ行くんだで!」で始める、小林多喜二のプロレタリア文学の1冊。という国語と日本史な知識としては知ってあるが、読んでみると労働者階級の苦しさと、革命という理想への様々な障害が感じ取れ、古臭くて読みにくさはいなめなかったが、それを超えて読み進められた。 個人的にはイデオロギー的には共感出来る成分は少ないかもしれないが、理想と現実。人間くささみたいなものは興味が深まった。赤い成分に情熱を燃やした様々な時代の本を少しずつ読んでみようと思った。2025/08/12
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