内容説明
その年、ペテルブルグの夏は長く暑かった。大学もやめ、ぎりぎりの貧乏暮らしの青年に郷里の家族の期待と犠牲が重くのしかかる。この悲惨な境遇から脱出しようと、彼はある「計画」を決行するが…。世界文学に新しいページをひらいた傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
8
1866年初出。「おまえが生活費にも事欠いて、もう数カ月も大学へ行かれず、家庭教師やそのほかの口もなくなってしまった」(68頁)とある。中年SNEP問題に近いものがある。学部の若い人のケースではあろうが。その後、「家庭教師の口もあって、なんとかやって行ける状態」(135頁)というのが綱渡り人生、今の非正規雇用者のような感じがした。さらにいくと、「実はね、ぼくにも家庭教師の口は全然ないのさ。それに、あんなものぺっぺだ」(226頁)とまで言われる始末。ぺっぺでは人権侵害だが。2013/04/30
まいご
2
『選ばれた強者は凡人のための法を踏み越える権利を持つ―この確信のもとに…』このあらすじの主人公像と本編との齟齬でかなり読みづらかった。確信は後付の自己洗脳で、犯行時点では道を外れる事の言い訳では?インテリ的驕心によって想像内では完璧な計画が、いざ実行となると逡巡、動転に支配される。犯行後は隠蔽が目的になり本来の動機は霧散する。標的の老婆をわざと人として見ないふしもある。犯行者の錯綜した心理描写が圧巻。 ※読んだのは中村白葉訳版2016/09/01
bibliophile_k
1
かなり長いし、難しそうだなと敬遠してきたけど、思い立って手に取ってみたら、思いの外読み易かった。ワイド版というサイズも手と目に優しい。あちこちに飛んでガチャガチャした感じだけど、何故か引き込まれてしまう。上、中、下と読み進めていきたい。2025/02/19
*
1
ロシア文学特有(?)の登場人物名の覚えづらさはあるが、心情描写には惹き付けられる。古典ビギナーにとっては、この上巻だけで完結してもおかしくない内容の濃さ。ここからどんな展開が待っているのか楽しみ。2017/04/06
os
1
おもしろくなってきた2016/01/16