出版社内容情報
主人公の「先生」は,かつて親友を裏切って死に追いやった過去を背負い,罪の意識にさいなまれつつ,まるで生命をひきずるように生きている.(解説=古井由吉 注=大野淳一)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きょちょ
25
学生時代に衝撃を受けた本のうちの1つ。今回の方が一層感動した。当時は「先生」と「K」の話がショックで、もし私が同じことをしたらきっと私も延々罪の意識にさいなまれるだろうと思った。幸いそういったことはなかったが、今思うとそれはこの作品を読んだおかげだろう。再読すると、クライマックスの「K」の告白からももちろんだが、「先生と私」、「両親と私」、そして特に「先生と遺書」のKが来るまでのこころの描写は見事なものだ。極端に言えば全ページにわたって「こころ」「こころの動き」を描いた作品を他に知らない。名作★★★★★ 2019/02/03
柴原 ちさ
10
2016年は夏目漱石没後100周年という事なので、久しぶり『こころ』を再読しました。大人になって読むと『相手の気持ちを知りながら裏切り謝る機会を永遠に失ってしまう』という事がどんなに恐ろしい事か…改めて考えさせられました。2016/02/16
サト
9
やっとこ読み終わった初漱石。途中から、読みたかったのは こころ ではなく それから だったと気付いた。持ち家があって働かずに下女まで使えるとはどんな時代だよ羨ましい。2015/02/20
かにょろ
9
実は国語で勉強した部分しか知らなかったので、初めて全部通しで読んでみた。時代が、世間が邪魔するから自尊心ばかりが高くなって自分の心をうまく持つことができないのだろうか。弱さを認めて良い風潮の現代とは大分違う気がする。心情描写やその時代の風景の表現力は流石に夏目漱石、と思うのだけど…とかく自分としてはこの時代の小説の主人公に共感できない。生きている時代の違いがそうさせるのだと思うが、内向的でプライドの高い人物が多いな2014/12/07
chisarunn
7
ちょっと必要があって読み直し。最初に読んだときは???だったことも二度三度読む内に氷解し、いけない妄想など添付しつつ読む。オトナになってから読んで気づいたのだが、漱石はあるていど「仮説をもって」もしくは「先入観をもって」読んだ方が理解が深まるのではないだろうか。(私見です)何の考えもなく取りかかると、ナニこの人?どうして?で終わってしまいそうな気がする。2022/09/29