出版社内容情報
技量はありながらも小才の利かぬ性格ゆえに,「のっそり」とあだ名で呼ばれる大工十兵衛.その十兵衛が,義理も人情も捨てて谷中,感応寺の五重塔建立に一身を捧げる.エゴイズムや作為を超えた魔性のものに憑かれ,翻弄される職人の姿を,求心的な文体で浮き彫りにする文豪露伴(1867-1947)の傑作.(解説=桶谷秀昭)
内容説明
技量はありながらも小才の利かぬ性格ゆえに、「のっそり」とあだ名で呼ばれる大工十兵衛。その十兵衛が、義理も人情も捨てて、谷中感応寺の五重塔建立に一身を捧げる。エゴイズムや作為を越えた魔性のものに憑かれ、翻弄される職人の姿を、求心的な文体で浮き彫りにする文豪露伴の傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちあき
2
文学史には必ず登場する作品。主人公十兵衛の不器用な性格、というか妥協のできなさ加減がぶっとんでいる。子どものころ雑誌で読んだあらすじは偉人伝的な「志」を強調していたような記憶があるけれど、これはそんなものじゃない。妄執に近い。そこのところが文体ともども非常におもしろかった。樋口一葉を読んだときと同様、雅俗折衷体の読みづらさは文体そのものじゃなくて、むしろ身のまわりの事物(衣食住に関する名詞)でなじみのないものが多いからじゃないのかな、なんてことを思った。2009/04/22
左脳
0
五七、または七五のリヅムに乗って読む。そうしないと読めなかった。2008/08/20