出版社内容情報
一般に『花伝書』として知られる.亡父観阿弥の遺訓にもとづく世阿弥最初の芸能論書で,能楽の聖典として連綿と読みつがれてきた.「幽玄」「物真似」の本義を徹底的に論じ,堂々たる芸術表現論として今日もなお価値を失わない.
内容説明
一般に『花伝書』として知られる『風姿花伝』は、亡父観阿弥の遺訓にもとづく世阿弥最初の能芸論書で、能楽の聖典として連綿と読みつがれてきた。室町時代以後日本文学の根本精神を成していた「幽玄」「物真似」の本義を徹底的に論じている点で、堂々たる芸術表現論として今日もなお価値を失わない。
目次
第1 年来稽古条々
第2 物学条々
第3 問答条々
第4 神儀云
第5 奥儀讃歎云
第6 花修云
第7 別紙口伝
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
井上裕紀男
26
褒めそやしなどは珍しき花、達人に習って己が腕を昇華させることはできるという話に引き込まれます。更には芸の腕は「下るは四十以来なり」として、その後は行く先の見通しをつけていくというのは手厳しい話。 随分と読みづらい文体と言えばそうなんですが、人生の肝を何とも粋な言い回しで語られると、妙に納得してしまいます。 世阿弥から弟への伝書らしい「花傳第七 別紙口傳」も良い。何回も読み返すと更に面白いはずです。 校訂された西尾氏の解説で、本書が読めることへの有り難みを噛みしめる。生涯に一度はぜひ読んでいただきたい。2021/11/06
garyou
2
確か草森紳一が武道の秘伝書について書いていたことがあって、どうしてもことばでは伝わらない部分があるから、一通り修行を終えて技等を体得した人間にしか秘伝書を見せないのだ、というような内容だったと記憶している。この本にも「ことばにするのはむつかしい」という旨の記述がある。能に限らず何かしら極めようとしたことのある人にしかわからない部分があるのに違いない。違う流派との競争に勝つにはなんていう俗っぽい話もあり、昼間は陽だから陰の、夜は陰だから陽の演目がいいなんてな話もあるけれど。2022/07/29
わせりん
0
世阿弥の能の秘密の書。正直読みにくいが、声に出すとテンポ良く、気持ちいい。感覚的なことを見事文字として残している。藝をつなぐものたち生真面目さに触れる。 一、好色・博奕・大酒、三十戒、これ古人(観阿弥)の掟なり。一、稽古は強かれ、情識(自分勝手な慢心から生ずる爭い心)はなかれとなり。 いつの時代も同じように考えているんだなぁ。2019/02/21
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