内容説明
哲学は古代ギリシャ以来、ずっとヒトを包み込む“環境”を問題にしていた。ところが、一七世紀にデカルトが「思考する自己」を発見して以来、人文科学の主題は“環境”から思考する“主体”へと大きく転換し、ヒトは“環境”から切り離されてしまう。以来、“環境”を吟味する思考はアンダーグラウンドで継続される。二〇世紀に入り、ついに生態心理学者のジェームズ・ギブソンが、“環境”の意味を再発見する。そして二一世紀。哲学、心理学、文学、映画、写真…さまざまな領域の先端で、ヒトを包む“環境”が熱い視線を集めている。
目次
プロローグ 『包まれるヒト―“環境”の存在論』への招待
1 包囲される身体(インタビュー 世界とつながる椅子―シーティングセラピー;環境における呼吸、そして知覚と行為;コラム 光学的情報による身体と環境のカップリング)
2 包囲の哲学(「認識」の哲学から「環境」の哲学へ;鼎談 アンダーグラウンド哲学史―存在の哲学/環境の哲学の可能性(染谷昌義;齋藤暢人;佐々木正人)
コラム 宇宙のアフォーダンス―パースとエコロジカルな心の哲学)
3 包囲と表現(インタビュー 環境と写真;映画にとって身振りとは何か;小説、言葉、現実、神 ほか)
著者等紹介
佐々木正人[ササキマサト]
1952年生。東京大学教授。生態心理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Bartleby
6
人が環境に取り囲まれて生きているという事実をどのように語ることができるのか。包囲や環境をコンセプトにした論集。環境形而上学について論じられている哲学部分が目的で手に取ったけれど、後半の、映画監督・写真家・小説家の三人が表現や鑑賞のあり方を論じた章が面白かった。2013/07/27
あめしるこ
0
映画監督・写真家・小説家それぞれの視点から見た「環境とヒト」論に新しい発想を貰った。環境とヒトを結びつける鼎談の章は哲学の入門として得るものがあったが、なかなか難しかった。2020/10/26
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