出版社内容情報
原子核は,平均場描像,集団運動的描像,カオス的描像など,一見相反する特徴が同一の系に実現しているユニークな系である.これらの多彩な特徴がどのような機構で発現するのかを概観し,相互の関係を考察する.
内容説明
本書は、原子核は有限個の陽子と中性子からなる量子多体系であるとの視点から、その多彩で特徴的な性質の理解をめざす。平均場描像、集団運動描像、カオス的描像など、一見相反する特徴が同一の系に実現しているユニークな系がどのような機構で発現するのかを概観し、相互関係を考察する。岩波講座としての第2次刊行にあたり補章を加え、重イオン反応によって生成される短寿命で不安定な原子核の構造について、最近の研究動向を紹介した。
目次
1 原子核の構造(核子多体系の存在領域;1粒子運動と殻構造;集団励起とモード‐モード結合;高励起状態の統計的性質;核構造における秩序と混沌)
2 集団運動の微視的理論(独立粒子運動と平均1体場;乱雑位相近似とボソン展開法;大振幅集団運動論)
3 原子核反応(原子核反応概観;光学模型;直接反応;熱平衡および非平衡過程;不安定核の構造)
著者等紹介
市村宗武[イチムラムネタケ]
1938年生まれ。1961年東京大学理学部物理学科卒業。現在、法政大学情報科学部教授、東京大学名誉教授
坂田文彦[サカタフミヒコ]
1944年生まれ。1968年京都大学理学部物理学科卒業。現在、茨城大学教授(理学部)
松柳研一[マツヤナギケンイチ]
1945年生まれ。1967年京都大学理学部物理学科卒業。現在、京都大学助教授(大学院理学研究科物理学・宇宙物理学専攻)
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