内容説明
ワクチンは医学史上最高の発明であり、北里柴三郎や野口英世など日本人の貢献も大きい。しかし近年の日本はワクチン後発国とまで呼ばれ、この分野の遅れが目立つ。ワクチン学は今後の医学・薬学・生化学・看護学などに必須の知識であり、本書はその入門書として、ワクチンの開発史、効果と副作用の機序を丁寧に紹介する。
目次
1 古典的ワクチン時代
2 近代的ウイルス・ワクチンの時代
3 細菌学の進展と細菌ワクチン
4 新しいワクチン開発
5 動物用ワクチン
6 日本における予防接種の現状とワクチン行政の欠陥―米国との比較
著者等紹介
山内一也[ヤマノウチカズヤ]
北里研究所、国立予防衛生研究所、東京大学医科学研究所教授、日本生物科学研究所主任研究員などを経て、東京大学名誉教授
三瀬勝利[ミセカツトシ]
国立予防衛生研究所、国立衛生試験所衛生微生物部長、国立医薬品食品衛生研究所副所長などを経て、現在、(独)医薬品医療機器総合機構専門委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
エル・トポ
8
【ウィルスの意味論】の著者3冊目。ワクチンは医学上最高の発明であるが、「副作用ゼロ」はあり得ない。利益とリスクを天秤にかけ、総合的に判断されなければならない。副作用が出たからと言って接種を中止するのは賢明ではない。日本はワクチンの後発国である。メディアを含む関係者は冷静な対応が必要。米国では、CDCとFDAがワクチンの承認・規制を行うが、ACIP(予防接種諮問委員会)がワクチン政策に提言を行う。メンバーは小児科学会、内科学、公衆衛生学、消費者代表等。ワクチン接種被害者、ワクチン製造者にも発言権があり、2020/12/09
coolflat
3
天然痘ワクチンから最新のマラリアワクチンなどの開発史を辿りながら、ワクチンの効果と副作用を解説。日本がワクチン後進国に留まっている原因に、ワクチン審査官の数が少なかった事が挙げられる。現在は増員されてきているが、一時は日本の審査官の数は米国の20分の1以下であった。これではワクチンの審査は進まない。また日本における潔癖主義とワクチンの副作用事件をメディアが過大に取り上げた事、これに対し行政が適切に対応しなかった事も有力な理由になっている。それにしてもへその垢から破傷風に感染する事があるのだと言うから驚く。2014/07/18
takao
1
ふむ2024/12/15
H.Yamaguchi
1
ポリオ生ワクチンの一種は接種者の糞便から排出されたワクチン株を非接種者が取り込むことで予防効果をもたせるといった話が興味深かった。 M1蛋白やNPによるインフルワクチンは細胞性免疫を誘導するといった自分にとって新しい発見もあった。2021/02/17