内容説明
リー群論・リー環論は19世紀に生まれ、それらの表現論を通して、現代数学のほとんどすべての分野を結びつける中核として発展してきた。本書では数学や数理物理の広範な読者を対象として、単に知識を伝えるだけでなく、理論の本質的部分や、どうやってそれが生み出されたかを、行列群などを用いた豊富な例を通して解き明かすことに力点をおいている。前半では、位相群の表現論を解析学の重要な結果と並行して解説。そして、リー群・リー環・等質空間・同変ファイバー束を初歩から詳述する。後半では、有限次元表現のカルタン‐ワイル理論(代数的理論)やボレル‐ヴェイユ理論(幾何的理論)を論じ、さらに無限次元ユニタリ表現の構成について基本的な考え方を紹介し、リー群と表現論の最先端を展望する。岩波講座「現代数学の基礎」『Lie群とLie環1、2』からの単行本化。
目次
位相群の表現
Fourier解析と表現論
行列要素と不変測度
Peter‐Weylの定理
Lie群とLie環
Lie群と等質空間の構造
古典群と種々の等質空間
ユニタリ群U(n)の表現論
古典群の表現論
ファイバー束と群作用
誘導表現と無限次元ユニタリ表現
Weylのユニタリ・トリック
Borel-Weil理論
著者等紹介
小林俊行[コバヤシトシユキ]
1962年生まれ。1985年東京大学理学部数学科卒業。京都大学数理解析研究所教授。専攻はLie群論、無限次元表現論
大島利雄[オオシマトシオ]
1948年生まれ。1971年東京大学理学部数学科卒業。東京大学大学院数理科学研究科教授。専攻は代数解析学
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