出版社内容情報
意味を生み出し,伝え,理解するという人間の認知能力の要となるのは,心的に構成された領域間のマッピング(写像)である.認知言語学の有力な考え方であるメンタル・スペース理論をもとに,意味理解と推論の原理を述べる.
内容説明
意味を生み出し、伝え、理解するという人間の認知能力の要となるのは、心的に構成された領域間のマッピング(写像)である。そのプロセスを調べていくと、人間の認知システムのメカニズムもわかってくる。認知言語学の有力な考え方であるメンタル・スペース理論をもとに、意味理解と推論の一般的なプロセスと原理を解明する。
目次
1 マッピング
2 メンタル・スペース結合
3 時制とムード
4 アナロジ的反事実表現
5 マッチング
6 融合
著者等紹介
三藤博[ミトウヒロシ]
大阪大学大学院言語文化研究科助教授(言語情報科学)
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感想・レビュー
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roughfractus02
8
著者はメンタル・スペース理論で、言語表現と解釈の間に認知モデルを導入し、言語がメンタル・スペース同士またはその内部要素の関係によって、言語自身が構築する比喩の動的ネットワークとして言語世界を捉える一方、メンタル・スペースは世界、コンテクスト、状況などの様々なスパンで解釈されるとした。本書では、思考や会話の部分構造であるメンタル・スペース同士をリンクさせる働きを探り、それをマッピング機能と呼ぶ。E・スウィーターの領域間マッピングから想を得たこの概念は、言語行為を他の領域とリンクする一つの行為として捉え直す。2021/12/24