出版社内容情報
つまずきの原因を「読解力が足りない」で済ませては支援につながらない。著者らは学習の認知メカニズムにもとづいて、学力の基盤となることばの知識、数・形の概念理解、推論能力を測るテストを開発。その理念と内容、実施結果を紹介し、それで測る力が算数・国語の学力とどのような関係にあるのかを質的・量的に検討する。
内容説明
つまずきの原因を「読解力が足りない」で済ませては支援につながらない。著者らは学習の認知メカニズムにもとづいて、学力の基盤となることばの知識、数・形の概念理解、推論能力を測るテストを開発。その理念と内容、実施結果を紹介し、それで測る力が算数・国語の学力とどのような関係にあるのかを詳細に分析する。
目次
第1章 「ことばのたつじん」「かんがえるたつじん」の基本理念―学びの前提を測るテスト
第2章 誤答から見える算数学力
第3章 「ことばのたつじん」による言語力のアセスメント
第4章 「かんがえるたつじん」による思考力のアセスメント
第5章 「ことばのたつじん」「かんがえるたつじん」と学力の関係―統計分析
第6章 学習のつまずきの原因
付録1 ほんものの学力を育む家庭環境―保護者アンケート調査から
付録2 「ことばのたつじん」「かんがえるたつじん」の開発の過程
付録3 「ことばのたつじん」「かんがえるたつじん」の頒布の対象と入手方法
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
南北
72
小学生の算数で文章題を読んでも式が立てられなかったり、図解できない子どもたちがいる。算数嫌いになるきっかけは従来、読解力と言われてきたが、いろいろな知識を組み合わせて問題解決するための「生きた知識」と推論を継続するための認知能力に原因がありそうだ。実際に小学生に出題した問題と子どもたちがどのような点を誤って認識してしまうかを解説しているのがおもしろい。残念ながら数学嫌いにならない対策については別な本に書かれる予定のようだが、数学嫌いがどのようにして生じてくるかに興味のある人には読む価値のある本だと思う。2022/08/19
けんとまん1007
70
学力とは?から始まり、表面的な問題ではなく、その根本にある課題を表出する内容で、とても興味深い。これまで、算数文章題の文章自体の理解ができないからということを、結構、目にしてきた。しかし、それすら表面的であることが提示されている。どういう思考で、間違えるのか、その思考はどこから生まれるのかということ。スキーマという言葉に納得する。いかにして、多様な言葉に触れるか、五感で感じとるのかに立ち戻ること。おしまいのほうに、本がある環境、読み聞かせの効用・身体性などに触れられていて、納得するものがある。2024/06/11
k sato
33
1/2より1/3の方が大きい!?もちろん、間違いだ。でも、教育現場で起きている現実なのだ。子供の学習のつまずきを単なる読解力不足で済ませず、原因7つに言及した教師たちの取り組みが記されている。広島県教育委員会が県内小学校を対象に、「ことばのたつじん」「かんがえるたつじん」と呼ばれるテストを行った。その結果、知識はあっても、生きた知識として活用できない子供が一定数いることが明らかとなった。特に、推論の力不足が顕著。保護者にアンケートを行ったところ、家庭での読書習慣や読み聞かせが、テスト結果と正の相関があった2023/04/18
SIN EIM
18
【個別最適化へ】「ケーキの切れない非行少年たち」と共に読むと更に興味深い。外国からの移民、学習障がい、あるいはグレーゾーンの子供たち。すべてを同じ前提から科学的に論証している稀有な本である。文部科学省が叫ぶ「個別最適化された教育」を実現させるために必要なデータが納められている。一方、全国で画一的にならざるを得ない日本の公教育の弱点をも浮き彫りにしている。ソクラテスもプラトンも福沢諭吉も懸念した「政治に近い機関が教育に携わるには限界がある」という言葉を裏付けていると思った。2024/12/16
sosking
18
認知について、大変勉強になりました。また、広島県の教育委員会は良い活動をしていると感じました。さて、認知については良い例を蓄える事が本当に重要で、この例から理解に繋がっていく訳です。だからこそ日常の中の出来事を、簡単な理屈で捉えることのできる子とできない子で差が広がっていく様です。問題を解くよりも前に、文を読んで例が出せると言う事がなりより大切だと言うことです。2024/09/12
-
- 電子書籍
- 民事証拠収集 - 相談から執行まで