出版社内容情報
本書の目標は代数学と幾何学の間に橋を架けることである.加群の生成元や昇鎖律といった代数の概念とともに,空間上の関数環としての可換環という幾何学的なとらえ方についても詳しく述べる.環と体の初歩を学んだ読者に勧める.
内容説明
本書の目標は代数学と幾何学の間に橋を架けることである。加群の生成元、昇鎖律といった標準的な代数学の解説に加えて、空間の関数環を用いて可換環の幾何学的側面についても詳しく述べる。最後の章では、この本の内容と、可換環論や代数幾何学に出てくる、より高度な話題を取り上げた。秋月や永田による有名な“奇妙な”例をいくつか紹介し、現代抽象代数の歴史についてもコメントする。
目次
0 こんにちは!
1 基礎
2 加群
3 Noether環
4 環の有限次拡大とNoetherの正規化
5 零点定理とSpec Aの幾何学
6 商環S-1Aと局所化
7 準素分解
8 DVRと正規整域
9 さようなら!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mft
4
具体例が多めなので抽象論だけの教科書とは違った読み応えがある。2000年に発行されたころにはまだ数論と幾何とから多面的に眺めるようなスタンスの良さが解らなかったのでスルーしていた2018/03/01
葉
2
序章が「こんにちは!」で最終章が「さよなら!」の本である。代数学を独学で勉強したため、環についての知識が非常に曖昧であり、この分野があまり好きではないことがわかった。Zornの補題やCayley-Hamiltonの定理はある程度頭に入っているが、中山の補題やDVRなどは初見である。環Aは可換(ab=ba)で単位元1=1Aをもつことを過程し、イデアルの説明から加群やHilbertの基底定理に流れている。抽象代数などは今の段階では無理であることがわかった。2014/11/14
にしもん
0
随分昔に購入し、パラパラと読んでは諦め、を繰り返していたが、今回いちおう通読をしたので、読了ということにしようと思う。といっても証明の精読はだいぶ端折ってしまった。Atiyah & McDonald の有名な教科書をもっと易しく書いたような内容。ネーター環・正規環・DVRなど幾何学的な有限性や非特異性が環の性質に反映されることを理解するのが本書の中心的な話題だろうか。演習問題がけっこうあるので取り組むと力がつきそうだけど、解答がネットを含め見つからないので答え合わせができず厳しい。問題演習は他の本でが吉か2022/05/10