出版社内容情報
整数論の研究で世界的に知られ,わが国の数学の発展にはかりしれない貢献をされた高木博士.文字どおり著者が「数とは何か」を追求した名著.数学者だけでなく,哲学に関心を持つ読者にも深い感銘を与える.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Z
9
順序に関する説明→有理数の抽密性(集合a要素間に別の集合または同じ集合の要素が無数にあること)→連続性(デデキントカット)の定義→有理数では連続性が確保できず、その隙を埋めて連続性を構成するものとしての実数の構成)という流れ)だが、カントールやヒルベルトの実数論、幾何学との関係なども書かれ、多面的に実数への視点を提供する。先にも書いたが、実数論は位相論とセットとなったり、代数学の知識を援用したりと初学者にとって雑多な知識が持ち込まれてわからないことがあるが、最小の知識で構成されていて、かなり纏まったいい本2019/12/10
Z
8
良書と思う。実数論、実数の構成、特徴付けを行う本であり、結論を書けば、連続性と加法をベースにした演算を備えた集合として実数は特徴付けられる。というものだが、昔の本を読むと、定義→定理→証明という数学書の構成に挟まれるコメント(雑談)が今の本より多く、面白いかつ理解を助けてくれる。類書では、抽象代数の知識などを用いて初学者には有り難くない、説明の簡素化を行う本があるが、この本は予備知識なしに、実数論をみごとに構成している(代数的な知識とのリンクも書かれている)。デデキントの実数論をベースに構成されている(順2019/12/10
mft
2
整数の簡潔な公理から始まるのが特徴。自然数から始めるより整数全体から始めてしまう方がすっきりはする。同時に有限集合(cycle)も出てくるのが面白い。実数はデデキント流に定義する2019/01/23
U-tan
0
高木貞治晩年の作.整数の公理とその体系,有理数の公理,実数の公理とその体系を詳述する.数の概念への著者の熟考がうかがわれる./高木貞治の他著は,『数学の自由性』『近世数学史談・数学雑談』『新式算術講義』『代数学講義』『初等整数論』『代数的整数論』『数学小景』,論文集,有名な『解析概論』など.どの本も素晴らしい洞察に満ちているようだ.2010/04/25
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