出版社内容情報
ロシア革命から第1次大戦末を対象とし,レーニンの「平和の布告」とウィルソンの「14カ条」の対抗宣言が生まれる過程を分析し,国際・国内政治の密接な関連などを特徴とする,現代国際政治の生成構造を解明する.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
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下巻はいよいよ11月革命でボリシェビキが権力を握り、秘密条約を暴きはじめるところから。一方参戦を決めていたアメリカは英仏に気を遣うような外交をするが、ロシアが中欧帝国に屈するのではなく、革命が中欧に火の手をあげることを期待するような英仏の動きに同調する。レーニンのロシアは特にドイツに黙って屈服するのではなく、あくまでも戦争全部を終わらせるという建前的な動きを取っている。ここにウィルソンの14か条とレーニンの思惑が焦点を結ぶ。「民族自決」(といってもかなりヨーロッパ限定だが)は中欧帝国により打撃を与える。2024/11/12