出版社内容情報
華やかな景観の奥に見え隠れする実験都市の光と闇.祭や結社の習俗を通して,多民族社会の複雑な顔が浮び上がる.建設以来続けられた異文化複合の試みには,都市の未来像への多くの示唆が含まれている.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
4
1819年に英東インド会社のラッフルズが上陸するまでは、海岸に何百という頭蓋骨の転がる、海賊の根城だったというシンガポール。ジョホール王国スルタンとの条約で商館を建ててから、歴史に躍りでる。「シンガポール史で大切なことは、植民地支配下の下で、強固な複合社会が形成されたことと、中国系住民、なかでも「新客」とよばれる、中国で生まれ、中国で育ち、はじめて海外へ移民してきた中国人の層で幇派社会が形成されたことである。その文脈のなかで、なぜムスリムの大海原に、華人を中心とするシンガポールが「点」として存在するのか」2023/12/04