出版社内容情報
ラカンの『エクリ』は,豊かな迷宮ともいえるテクストである.本書は,ラカンの文体を手がかりに,全く新しい読みの可能性を切り開き,フェミニズム的読解となってラカン思想の深奥に辿り着いている.
内容説明
精神分析の革新者ジャック・ラカンの『エクリ』は、今なお汲み尽くせぬ豊かなテクストであり、読みのプロを自認する者を誘惑してやまない。テクストを支配=把握するよりも、テクストに対する「転移」を自覚しながら精神分析的に読み進めるギャロップの試みは、見事なフェミニズム的読解となって、ラカン思想の深淵を切り開いている。きわだった独自性と才気にみちたラカン読解入門。
目次
1 『エクリ』を読む
2 他者としてのアメリカ(「『盗まれた手紙』についてのゼミナール」)
3 どこから始めるか(「鏡像段階」)
4 フロイトへの回帰のための方向指示(「フロイト的事象」)
5 隠喩と換喩(「文字の審級」)
6 ファルスを読む(「ファルスの意味作用」)
7 死せる作者の夢(「主体の壊乱」)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
6
「一九八一年十月五日、私は精神分析を受け始めた…だいたい時間とお金が理由で、激しい迷いの時期を何度か経験した…なにしろ私としては、本を出す計画を抱えていたのだから。十二月五日、分析を中断…体の中央の横隔膜が、文字どおりふるえたのだ。二ヶ月目には不安もふるえも鎮まり、性生活も正常に戻った…自分の見る夢は何を意味しているか…理解したかったのだ…フロイトは、女性は誰でも最終的には分析家からペニスをもらいたがり、そのために分析は果てしなく続くことになると…書いている。人はみな去勢されているとラカンが言う」2016/03/13