出版社内容情報
戦無派は特攻隊に何を見たのか.戦争を知らない若者達の熱烈な支持を受け,国連芸術賞の受賞など国際的にも高い評価を得た舞台「ザ・ウインズ・オブ・ゴッド」.原作・脚本・主演の今井雅之が熱く語る戦後50年へのメッセージ.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
東京には空がないというけれど・・・
5
昔、この舞台を見に行ったことがあった。涙が自然にこぼれた。今は亡き、今井氏のインタビューがまとめられたこのブックレットを読むと、彼が何を描こうとしていたのか、わかったような気がした。「今時の若者は…」という表現はするべきでない。若者のエネルギーはいつの時代でも同じだ。リーダーが間違うと、そのエネルギーは狂った方に向かっていくことがある。タイムスリップした漫才コンビと当時の若い特攻隊員たちの言葉のやりとりに、社会が間違った方向に行かないようにしようという、不戦の思いが詰まっている。2025/06/08
なおっち
0
今井さんの言葉がどれも素直で真っ直ぐで、だからこそ等身大に感じられて、読みながら、嘘の無い熱意に心打たれた。 特攻隊という特化されたテーマを扱いながらも、本当に伝えたかったことは「如何に生きるか」ということだと感じた。 戦争が起きない方法として今井さんが提案したことが、本質を突いていると思った。 【「戦争には、政治家と佐官クラス以上の国家の上層部だけ行けば良い」と憲法に定めること】2015/09/14
こっこ
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「ザ・ウインズ。オブ・ゴッド」からの一気読み。岩波と今井氏との組み合わせも意外な気がするが、結構岩波から本出しているんですね。「ウインズ~」は単純な「反戦」劇、小説ではないと思うが、この本では戦争の愚かしさが特に強調され、結果「反戦」論と言って良い内容になっている。ある意味「岩波好み」に仕立てられているといえるかも。ともあれ今井氏には心から追悼の意を表したい。この本でも彼はやはり熱いのだった。2015/06/08
紫苑
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著者は自身を戦無派(第二次大戦後に生まれた、戦争を全く知らない世代)だと強調する。「反戦」の語は意識的に避け、1人だけ戦争反対は言えないという。戦争のくだらなさや、若者のエネルギーがどう転ぶかによる危うさを強調する一方で、右派メディア「チャンネル桜」の賛同者に名を連ねるなど、立ち位置が摑みにくい部分もある。「戦後生まれだから歴史を持ち出されたら困る」などと言う戦無派の宰相も出る時代。世界情勢が大きく変わりつつある今こそ、改めて考えを聞いてみたかった気もするし、何より「戦争と人間」を問い直す時でもあると思う2022/06/05