出版社内容情報
最近,浄土真宗は戦争「協力」責任の告白を行った.しかし近代の浄土真宗は,「協力」にとどまらず,「現人神」の信仰を認め,戦没者の顕彰を儀礼化したように,国家神道の一翼をにない,海外侵略を美化する役割を負っていた.
目次
浄土真宗の戦争責任告白
靖国信仰と浄土真宗
国家神道
浄土真宗のなかの国家神道
侵略戦争と浄土真宗
戦争責任の自己批判
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
samandabadra
4
成立当時の宗教的な姿勢から、国家への協力の犯罪を問うという意味では原理主義的とも言えなくもないが、浄土真宗の門徒の立場から原理に立ち戻り、反省する姿勢を語った本。昭和のある一瞬だけあったときからでなく、明治時代から敗戦までの状況、さらに現代も断ち切れない神道との関係などから説き起こした視点は面白かった。海外への進出も「布教」ではなく、海外に出てゆく日本人をおっていった「追教」であるという話にひざを打つ。(大谷探検隊の話は関連付けられていない。おそらく違う意図だったという意見のようだ<この辺は同意する)2011/02/21
のとや書架
3
いわゆる国家神道の戦争責任や、靖國神社に関わる宗教性の論議は主に終戦の日の前後に見かけることも多いが「仏教界の『戦争責任』」を具体的に扱ったものは数少ない。本書は、短い中でもそれを適切に取り上げている。浄土真宗の基層的な思考と、国家神道政策に追従した矛盾。宗教という立場から離れていく宗教とは何なのだろうか。靖國神社の性格も合わせて考えることが肝要。2012/04/23