出版社内容情報
従軍慰安婦の存在がようやく歴史の闇から浮び上がってきた.筆者はその導火線の一つでもあった映像作品『海の記憶』を携え世界各地を一人旅,そして日本文化の特異性にぶちあたる.豊富な取材を含むユニークなルポ.
目次
遠い風景から射す影
女と性と表現
他者の眼
タイとの出会い
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
扉のこちら側
59
22017年376冊め。元慰安婦の日本人女性の証言がつらい。借金のかたに台湾へ売られ、またパラオにわたり、サイパン守備隊全滅の後はジャングルを逃げ回りながらやせ細った日本兵の相手をさせられ。帰国して彼女の過去を聞いた妹は生きているのが嫌になったと自死してしまったという。旧日本軍の戦友会で語られる「朝鮮ピー」は青春の思い出話。あの頃の思い出で済まされる女性の魂はどこに行くのだ。聖戦を騙る皇軍に捧げられた犠牲者の姿を、画家の著者は描く。10万、20万とも言われる日本や外国の彼女たちの恨みを解くものは。2017/11/03
そのじつ
8
1992年初版。著者が女性アーティストであり、豊かなイメージのある語り口。「戦争中が青春だった私には「君が代」「日の丸」とともに、桜の花はつらく、いまわしいものとしてよみがえってくるのだった」前半を従軍慰安婦に、後半は90年代の台湾・タイ・フィリピンなどでの日本人の買春について頁が割かれている。出典の明記がない部分もあり、多分に感情の盛り上がりに乗って読む本のようにも思える。民俗学的イメージをオーバーラップさせたり、語り口が興味深く読み易かった。2014/03/24
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- 和書
- 甘い香りの誘惑 二見文庫