出版社内容情報
信州の寒村で農民とともに歩み,「農村医学の父」若月俊一が,大病のあとの素顔で,自らの老境,現実ときり結んだ青春の日々を語る.芥川賞作家で内科医の著者が,病室で試みた真摯でユーモアに富む渾身のインタビュー.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おたきたお
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若月の病院(佐久総合病院)で働いたこともある著者が、療養中の若月との対談を収録した著書。最初の方は著者の誘導尋問に若月が応える印象だが、若月が回復するに従い持ち前の積極性を現す。よそものでアカというレッテルを貼られながらも農地改革のインチキを見通し、本業を研鑽しながら農民との信頼関係を築いてきた半生を振り返る。治安維持法逮捕や農協幹部との軋轢を切り抜けたのは、若月の持つ「敵を取り込む」しなやかさだったようだ。自ら女性問題にも言及し、妻を尊敬していると語る。柔と剛の使い分けが人間臭くて素晴らしいと思った。2006/07/01
young
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医学生の時に若月先生が亡くなったニュースは耳にしたが、そこまでの印象はなかった。ただ友人がいたことや、地域医療のメッカを見たいと思い佐久には実際に見学に行ったことがあった。若月先生について改めて学んだのは今回が初めてである。本書では病院での実践についてはさほど描かれておらず、どちらかというと佐久に至るまでの物語であった。いじめをきっかけに左翼化し、拘置所に入った時の話は興味深かった。 図書館から無料贈呈でいただく。2023/09/17
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- 和書
- 予測不能な一年後の私へ