不平等の再検討 - 潜在能力と自由

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不平等の再検討 - 潜在能力と自由

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  • サイズ B6判/ページ数 320p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000028783
  • NDC分類 331.74
  • Cコード C0033

出版社内容情報

著者は,人間がいきていく際の質そのものを考慮して福祉を評価する「潜在能力アプローチ」を編み出した.本書はその手法を用いて「人間が多様な存在である」という前提にたって様々な「不平等」について分析する.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Koichiro Minematsu

49
今の所、後半に入ったところですが、不平等を科学的にも解明しようとする本著だけにあって、確かに難読感がありますが、そこに精力的に取り組まれた筆者には頭が下がります。ただ今言えるのは、平等を追求する反面、昨今の時代、究極的に多様性を認める上で「平等」を考える難しさも表面化している気がします。決して多様性の否定派ではないのですが、そう考える「平等」って簡単なことではないんですね。2022/12/06

壱萬弐仟縁

27
読んだのに、記録がなかったようなので。福祉とは暮らしぶりの良さを表す。潜在能力は機能の集合。機能とは人の福祉を表す状態や行動(ⅴ頁)。注意すべきは、なにができるかは社会のあり方からも影響を受ける゛(ⅵ頁)。中心とみなされる社会課題の平等は非中心の周辺の不平等を受容すること(ⅶ頁)。真の機会均等を捉える適切な方法は潜在能力の平等でなければならぬ(10頁)。貧困が絶対面と相対面の両方をもち、貧困問題を取り扱う上で複眼思考は重要(12頁)。真の問題は、効用最大化の目的関数の性質がいかなるものか(19頁)。2016/06/17

ヤギ郎

14
経済学を背景におきながら、哲学や法学の論者も参照しつつ、社会における「平等」を考え一冊。平等という概念は、(一)人間とはそもそも互いに異なった存在であり、(二)平等を判断するときに用いられる変数が複数存在する(1)。「なぜ平等でなければならないのか?」と「何が平等なのか?」この視点が大切である。丁寧に読んで理解を深めていきたい。参考文献が圧倒的である。2019/02/12

黄色と橙

9
非常に面白く、明快で、示唆的。長年の積読にしていたことを後悔。「従来の不平等研究は所得や資産の平等を問題化してきたが、それらを活用する能力は個々人によって異なり、尚且つその能力は社会的身体的特徴の違いにも依存している」というセンの指摘は感覚的にも理解しやすい。身体の不自由な人の困窮の程度は、その人の所得水準からでは適切に判断できないのだから。これは不平等分析が所得の問題にのみ焦点化させ続けているだけでは見出せない視点。固定化している社会的不平等を考える際には尚更に重要。2011/08/01

ががが

4
なぜ平等か、なんの平等か、というところからこれまでの平等論を取り上げて、あるひとつの尺度でとらえた平等が別の次元での不平等を引き起こすと論じる。資源や成果の平等を期待するのではなく、各人が引き出すことのできる機能とその束の潜在能力、資源からの可変率に的を絞って平等を考えることで別の視点から不平等を論じられる。また、貧困を基本的な機能の欠如として社会問題に適用させている。ちゃんと理解できてるか分からないが、何の平等が問題になっているかということを意識するだけで新たな視点が得られる。ガチガチの頭にはよい刺激。2015/06/22

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