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神なき時代の神―キルケゴールとレヴィナス

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  • サイズ B6判/ページ数 193p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000028486
  • NDC分類 135.5
  • Cコード C0010

出版社内容情報

レヴィナスを手がかりに,神の不在と逆説が切迫した現実となった今日の信仰の意味を探る.明快な叙述により,「顔」に対する「応答」を説くレヴィナスの難解な議論が読みとかれ,倫理的責任の受容に結晶する神信仰が提示される.

内容説明

哲学とは何か、それは「善く生きる」ことの意味を見いだそうとする営みではなかったのか?高度に発達した知識の体系と日常的に蔓延する不正や悲惨とに取り囲まれたわれわれは、この基本的な姿勢を失っているのではないか?本書は、ユダヤ人哲学者レヴィナスを手がかりに、哲学の意味を倫理と信仰へと問いつめ、神の不在と逆説とが切迫した問いとなった現代における信仰の意味を探る。明快な叙述のうちにレヴィナスの独特で難解な議論が読みぬかれ、倫理的責任の引き受けに結晶する究極の神信仰が取りだされる。

目次

否定と跳躍―ソクラテスとキルケゴール
死にさらされた裸と至高性―レヴィナスの語る顔
神の超越と人間の責任―人間を通してのみ働く神
レヴィナスにおける死と時間―ハイデガーとの対比において
存在の「かなた」―人と神における近さと遠さ

著者等紹介

岩田靖夫[イワタヤスオ]
1932年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。専攻:哲学。東北大学名誉教授、聖心女子大学教授。著書に「アリストテレスの倫理思想」(’85年)「神の痕跡」(’90年)「倫理の復権」(’94年)「ソクラテス」(’95年)、訳書に「パイドン」(’98年)「形而上学入門」(2000年)など
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

きゃんたか

10
神は他者の「顔」に宿る。顔は悲惨そのものであり、殺意を催すまでに弱さそのものであり、それと同時に「殺すな」と命じる絶対権威の反映である。そのような曰く言いがたい顔の表象がすべての倫理道徳の根本であり、信仰の根本であるとユダヤ人思想家のレヴィナスは教える。自身ドイツ軍の捕虜となりナチスによって親兄弟を殺された過去を持つ彼の思想には、生きた血が通っているようで有無を言わせぬ説得力がある。2015/02/17

寛生

9
ハイデガーとレヴィナスにおける「死」についての観点の相違について、実に明確な描写をされている。118ページにある「傷をうけること」と「死」について、著者が「--では、死がトラウマティスムよりも更に受動的な情動である、とは何を意味しているのであろうか。」と問うが、これがとても新鮮な問いかけだと感じた。投げかけられた読者が考えないといけないテーマだろう。2013/05/24

koke

4
レヴィナスを論じる上での、補助線としてキルケゴール(とソクラテス)という扱い。キリスト教やユダヤ教の思想との関係がどのようなものか、自分の中で整理できていないので、ははあと思っても、そのように納得してよいのものかわからないところも多かった。とはいえ、著者のレヴィナス論は受け取りやすいと個人的には感じる。2020/12/03

アルゴス

3
キルケゴールは導入に使われているだけであり、ほとんどがレヴィナスについて、とくに彼の基本的な概念についてのわかりやすい説明である。テクストから離れず、一歩ずつ歩む姿勢は好感がもてる。しかし「本書において、私は、語りうる資格以上のことを語って、自分自身を極限にまで追いつめてしまったと思う」とあとがきに書くようなことだろうか。自己認識にいささかの疑問。ただしレヴィナスの入門書として良書である。2018/01/07

t78h1

3
キルケゴールとレヴィナスを「神」という考えから探っていく。私の印象ではレヴィナスに比重を置いており、これからレヴィナスを学びたい人が読んでも差支えがない。2010/10/31

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