出版社内容情報
恋愛の近代の軌跡を逍遥,四迷,紅葉,鴎外,漱石など文学作品を素材に論じて,前近代の男女関係の概念「色」が,理想的価値として登場するLoveの訳語「愛」と遭遇して変貌して行く姿と明治の青春の位相が抉り出される.
内容説明
本書は、近世の男女の性的な関係を徴す「色」の意識を引きずったまま、近代に立ち至った文学者たちの「愛」の理念との衝突、そして葛藤が引き起こす心性の局面を鋭く論じたものである。
目次
「色」から「ラブ」へ―坪内逍遥
「好色」から夫婦愛へ―尾崎紅葉
「色」と「愛」の間で―二葉亭四迷
「恋愛」へのあこがれ―森鴎外
「ラブ」の挫折―二つの女学生小説
芸娼妓の復権―泉鏡花
愛でも救えぬ孤独―夏目漱石
「愛」への懐疑―女性作家たち
神話の崩壊―森田草平