出版社内容情報
ウォーキング・クラブの初老の男たちに忍び寄る道中の発作の予感.植物園勤めを始めた男の心の揺らぎ.不思議な手紙に誘われるような殺人事件の報….淡々とした日常に亀裂が入る瞬間を巧みな描写で描く会心の小説集.
内容説明
ときにユーモラスにときにひんやりと、淡々とした日常に些細なきっかけで狂いが生じるドラマを巧みな描写の積み重ねで描く、著者会心の中‐短篇集。
著者等紹介
山本昌代[ヤマモトマサヨ]
1960年神奈川県生まれ。津田塾大学在学中の83年、『応為坦坦録』で文芸賞を受賞。95年に『緑色の濁ったお茶あるいは幸福の散歩道』で三島由紀夫賞を受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
巨峰
16
始めての作家さん。5つの短編小説。読みやすくて、つまらなくはないんだけど、どう紹介すればいいかちょっと困る。すこし歪んだ日常を独自のセンスで切り取った。落ち着いていて、物語的なオチはない。ピリオドがない感じ。唯一オチのある表題作は、それゆえに居心地がわるい。2013/09/29
やんやん
5
短編5編。夢?妄想? 読みやすいので読んでいると 最後がなく 終わってしまう感じで あれ?っと悩んでしまう。スッキリせずに次のお話へ。表題作の手紙はしっかり最後がありましたが 最後で終わるからなのかな。他の話は日常がこれからも続いていくという事だったのか??2015/10/09
timeturner
3
ふつうの人がふつうに送る日常の中に小さな狂いが生じる瞬間を淡々と描いている。幸せな人はひとりも出てこないが、かといって不幸に打ちのめされている人もいない。なんだか不思議な空気をまとった作品を書く人だなあ。表題作は怖かった。2022/01/18