出版社内容情報
旧西ドイツ首相として外交面で大きな功績を残した著者は,三超大国との折衝の数々を,本書で回想する.超大国の指導者との対立,協調の外交的活動が,ブレジネフ,ニクソンなどとの対話や人物評を通して描かれている.
内容説明
西ドイツの首相として東西関係の緊張緩和に大きく貢献した著者は、三超大国との外交折衝の数々を本書で回想する。「〈敵のイメージ〉から出発する者には平和を樹立することはできない」と確信する著者の平和観と、超大国の指導者との対立、協調の外交的活動が、ブレジネフ、グロムイコ、ニクソン、フォード、カーター、レーガン、キッシンジャー、ブレジンスキーなどとの対話や人物評を通して、ヴィヴィッドに描かれている。
目次
第1部 ロシア人とともに(ロシア・ソ連の継続性;ソ連の戦略とドイツの利害;最初のブレジネフ訪問;幕間のできごと;ランゲンホルンでのブレジネフ;政治局の路線変更;老人支配の終焉;ゴルバチョフによる根本的改革?;条約による軍備削減―歴史的なチャンス;隣人関係)
第2部 アメリカ―大国であることの困難さ(アメリカの第一印象;ケネディの星;ジョンソン、エアハルトを失脚さす;ニクソン―勢力均衝の戦略;最初のドル危機;ジェラルド・フォードとの友情;ジミー・カーター―理想主義と不決断;二重決定への道;中東政策の部分的成功;カーター外交の破綻)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紙狸
19
1989年刊行(原著は87年)。74~82年に西独首相を務めたヘルムート・シュミットが対大国外交を回想。ドイツ人のソ連・ロシア観を復習しようと読んだ。アメリカ、中国より先にソ連が置かれている。ロシア帝国とソ連の対外政策の継続性を強調する。キーワードは「ロシア的メシア主義」。ロシアが救済の主であるという信念を指す。そして領土拡張の欲求だ。16世紀のイヴァン雷帝以降の領土拡大の歴史から説明する。首相退任後もご意見番として尊敬されていたシュミット。国民にロシアの歴史や文化を知ってほしいという思いが伝わってくる。2022/03/01