労働組合運動とはなにか―絆のある働き方をもとめて

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労働組合運動とはなにか―絆のある働き方をもとめて

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  • サイズ B6判/ページ数 225p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000025966
  • NDC分類 366.6
  • Cコード C0036

出版社内容情報

社会には競争が溢れている.勝者たり得る者はごく一握りにすぎず,多くの人は敗者になることをまぬかれえない..敗者が「敗者」の立場のままでも生きていける社会は可能なのか――.ノンエリートがノンエリートの立場のままで生きていける社会を可能にする試みこそが労働組合運動だとする著者が,その真髄を語る.

内容説明

なぜ労働組合は嫌われるのか。にもかかわらず、なぜ労働組合こそが必要なのか。民主主義と社会運動のあり方を展望する、「反時代的」な抵抗の書。

目次

1章 労働組合原論―その思想、その機能、その多様なかたち(なぜ今、あらためて労働組合運動なのか;労働組合の思想;労働組合の基本的な機能;さまざまの“労働社会”・それぞれの労働組合)
2章 欧米労働組合運動の軌跡と達成(クラフトユニオンの世界;一般組合(ジェネラルユニオン)の登場
職場全員組織と産業別組合―ものがたり・アメリカ自動車産業の組織化
労働組合運動と現代の労使関係)
3章 企業別組合への道ゆき―近代化・現代化の日本的特徴と労働者(企業別組合への大まかなプロセス;日本近代化の特徴的な様相;年功制度;戦後民主主義と労働者思想;戦後労働組合運動の展開)
4章 労働組合運動の存在は今どこに?(戦後労働組合運動が達成できなかったこと;非正規労働者にとっての企業別組合;正社員(=組合員)にとっての企業別組合
いくつかの重要な関連事項)
5章 労働組合=ユニオン運動の明日(労働組合のニーズをめぐる意識状況;企業の組合・職場の組合―その性格の二重性と労働者の選択;中小企業労働者の連帯―支払能力の軛を絶って;非正規労働者たちのユニオン)

著者等紹介

熊沢誠[クマザワマコト]
1938年三重県に生れる。甲南大学名誉教授。1961年京都大学経済学部卒業(1969年経済学博士)。研究会「職場の人権」を1999年に設立、2012年まで代表を、現在は顧問を務める。専攻は労使関係論、社会政策論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

きいち

21
組合に所属したこともないし正直「終わった制度」と思っていたが、派遣やブラック被害者の支援の現場でのユニオンのあてになりっぷりを身近に見聞きし、ここ最近労働組合観が大きく変わったところだったので読んでみた。とても力の入ったいい本。過去や海外の労働運動の端的な事例紹介を通じ、「あってもよかった今」や「ありうべき将来」の選択肢が立ち現れる。労働問題が「個人の問題」としてあらわれている現状に対し、「絆のある働き方」の実現が結局は近道、労働組合は確かにそのための有効な手段だ。◇関西生コンや港湾の事例は鮮烈だった。2013/05/13

壱萬弐仟縁

13
2011年は孤族元年(14頁)。単身世帯増加の一途。無援、無縁の社会問題。孤独死回避は、労組のような助け合いシステムなくしてひとりではできないことが多い人間。142ページからは非正規の組合が喫緊の課題とされる。労組法の支援も時代に合うようにする必要もある。学部時代に産業社会学を学んでいて出てきた著者だと想起。正規のような仕事でも非正規待遇。正規でも首切りされるアベノミクスの弊害。厳しい労働実態に、生存権を声高に。2013/06/13

富士さん

7
労働組合の理念、歴史、方法を分かりやすく通観した見事な入門書であると同時に、政治が変わればたちどころにうまくいくと唱える怪しげな魔法使いの秘密集会でも、経営者から下賜された利益を恭しく頂戴する労働貴族のクラブでもない、堅実で切実な日々の理不尽と闘うためのあるべき労働組合の在り方を明快に示した思想の書だと思いました。労働とは本来、生きるための営みすべてを言うべきだと思うので、生存を阻害するものへの闘いこそ労働と言い得ると思います。むしろ、死を強いる理不尽に逍遥として従うことこそ、怠惰と虚無を証している。2016/10/23

とくべい

6
本の帯にある「なぜ労働組合は嫌われるのか」は労組の活動に携わる者には衝撃的。嫌われているかどうかはともかく、圧倒的多数の若者から労働組合が縁遠い存在であることは事実だ。個人で加入できるローカルユニオンや職種別のクラフトユニオンの成長に著者は希望を見出しているが、著者も認めるように、日本型労働組合の最大の特徴である正社員中心の企業別組合という組織形態からの脱却抜きに、労組の再生はありえない。非正規や女性トから身近な存在になれるかどうか、ここに著者の言う産業民主主義の主役に組合がなれるかどうかが問われている。2013/10/31

どら猫さとっち

6
今忘れられているといえる労働組合運動。しかし、そんな現在だからこそ必要性があるのではないか。本書はそう問いかける。競争社会に働かせられ、人格すらないがしろにされていく。ブラック企業が蔓延し、働く能力も意欲も削がれる。安易に負け組にされてしまう今、それを救うのは、労働組合運動である。しかし労働組合は嫌われ、振り向きもしないのはなぜか。労働組合はそうであるにもかかわらず、なぜ必要なのか。また立ち起こすにはどうしたらいいか。貧困問題や働き方をも考える、渾身の“労働組合運動論”だ。2013/02/11

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