出版社内容情報
手稿や史料を綿密に読み解くと,「高貴な芸術家レオナルド」は,私生児コンプレックス,悲痛なほどの自己顕示欲,孤独癖の持主だった.鏡文字解読第一人者の情熱がフィレンツェ人の社会観・宇宙観を背景に「天才」の真実に迫る.
内容説明
ルネサンスの理想を体現した「万能の天才」レオナルド。だが、手稿や史料のわずかな手がかりを綿密に読み解くと、「高貴な芸術家」は、私生児コンプレックスを免れない悲痛なほどの自己顕示欲と孤独癖の持主であった。鏡文字解読第一人者の情熱は、時代の社会観・宇宙観を背景に、通説をはねのけてレオナルドの真実に迫る。
目次
1 母の嫁ぎ先
2 「カテリーナ来る」
3 母の埋葬費
4 生家と家族
5 父と子
6 幼年期の謎
7 私生児の自覚
8 神童の学業成績
9 即興演奏家
10 自然の魅惑
11 自然の脅威
12 フィレンツェ、1469年
13 ヴェロッキョの工房
14 職人の文芸趣味
15 サルタレッリ事件
16 見せしめの絵
17 技術者の系譜
18 未完成の絵
19 化石の謎
20 遙かなるミラノへ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Hiro
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長らく積ん読していた(何と30年以上も)本書をもう処分しようかと取り上げてみたら面白くて止められなくなった。著者は近著の中公新書も読んだが本書の方が私はいい。ダ・ヴィンチの出生からフィレンツェ時代までを綴るエッセイという体裁で、当時の公的文書を元に通説を紹介したうえで著者が自身の独自の見方、推理を展開する。その語り方が推理小説のように面白い。著者にとってはもう40年近く前の研究途上の業績だろうが文章が活き活きしていていかにも自分だけが知っている秘密を早く読者に伝えたいという得意と楽しさが伝わってくる。2021/06/11