出版社内容情報
大きな反響を呼んだ映画「ヤクザと憲法」が浮き彫りにする、思いがけない人権意識、現代社会のありようとは?
内容説明
長期にわたる指定暴力団の取材を重ね、大きな反響を呼んだドキュメンタリー映画『ヤクザと憲法』。映像が浮き彫りにする、思いがけない人権意識、現代社会のありようとは?取材班の葛藤、初めて明かす裏話なども交え、制作過程を克明に綴る。
目次
序章 『ヤクザと憲法』が問いかけるもの
第1章 組事務所にカメラが入った
第2章 ヤクザの日常
第3章 「暴排条例」がもたらしたもの
第4章 ヤクザを弁護してはいけないのか
第5章 「暴排条例」とメディア「忖度のくに」ニッポン
終章 『ヤクザと憲法』の果実
特別寄稿 ヤクザは絶滅危惧種 安田好弘(弁護士)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
GAKU
75
長期にわたり指定暴力団の事務所でカメラを回し、密着取材を重ねた、東海テレビのドキュメンタリー『ヤクザと憲法』の制作過程を綴ったもの。暴力団対策法、暴力団排除条例によって、市民の安全は確保できるのか?暴力団は無くなるのか?ヤクザの人権を完全に無視した法律はどうなのだ?「ヤクザが人権を主張するなら、ヤクザ辞めればいいじゃない。」というような簡単な問題では無いですよね。ヤクザを肯定するわけではないですが、こういう所でしか生きられない人達が居るのも事実だと思う。⇒2017/01/25
fwhd8325
33
よく考えれば、寅さんだってヤクザみたいなもの。かつては、ああいう人が普通に町中にいたように思います。なんでもかんでも悪で括ってしまうことで、その人権まで否定してしまうのも如何なものかと考えます。むしろ、こうした世界をつぶすことで、社会がマフィア化していることの方が影響は大きいと思います。悪もまた秩序なんだと考えます。2017/03/15
姉勤
32
近年映画化された、同名ドキュメンタリー制作前日談と後日談。「差別反対」「平等」と叫んで飯を食っている人々が口をつぐみ、寧ろそれを肯定しているヤクザの生存権の消滅。ヤクザであれば人にあらずの実態が垣間見れる。要するに彼らはケガレであり、ケガレであれば祓われるべきであり、一度接触すれば禊をしなければケガレは残る。問題は祓って消える人間はいないということ。では誰が、ケガレを認定し周知させているか。他にも既存のマスによってケガレとされてきたものがある。マスはメディアからネットへ移り、新たなケガレも生まれている。2019/10/19
サトシ@朝練ファイト
32
指定暴力団の二次団体を「顔出し・取材費無し」のドキュメンタリー番組で制作した東海テレビが書いているだけあって読み易く興味深いです。やはり取材で情報を取っているだけあって言葉に力があると思います。「政治権力」に対してもマスコミの過度な忖度(ソンタク)を、あたかも権力のせいであるがごとくにする空気が蔓延しているのでは?と疑問を投げています。なるほどね〜!2017/04/22
A.T
24
映像自体を未見なのが残念。巻末のトークイベントも目で見たかった。。。 2014年7月、東海テレビが取材先に絞ったのは大阪府堺市の「二代目清勇会」。組員27名の大阪西成に本部を置く指定暴力団の二次団体。「川口会長」「部屋住みナオトくん」「河野事務局長」「山口組元顧問弁護士山之内さん」ら取材から見えてくる平成ヤクザの現実。P159「…人権を盾にとって、ヤクザに人権ないんかって言うてるだけであってね。ヤクザと人権って並列させたら、…ほんなら我々に人権ないんかって反論してるだけ…事実を知ってくれっていうことや…」2019/11/17