出版社内容情報
明治の日本で初めて民間「建築師」の看板を掲げた建築家にして発明家,職工養成の学校を興した社会運動家にして野心的な事業家――この多彩な顔をもつルネサンス人の生涯に,近代化の影に隠された,もう一つの可能性を読む.
内容説明
明治日本の「ルネサンス人」がいた―はじめて民間「建築師」の看板を掲げた建築家にして、永久運動機関の夢に憑かれた発明家、事業家にして、職工養成の学校を興した社会運動家、そして芸術家兄弟、道郎、熹朔、千田是也の父…。終生、野にあって、自らのアイデアの泉に殉じた足跡は、「官」主導の怒濤のような近代化のなかで、果たされなかった多くの夢の破片をとどめている。「敗者」の精神に、時代の陰に埋もれたもう一つの可能性を探る。
目次
第1章 伊藤為吉という人
第2章 銀座を飾った建築家
第3章 耐震構造を追い求めた生涯
第4章 鉄筋コンクリートに先駆ける
第5章 伊藤為吉の社会事業
第6章 発明絵巻―「世に先走り志たる発明」
第7章 伊藤芸術家兄弟―十人の子供たち
第8章 やわらかいものへの視点