出版社内容情報
書画骨董のプロに限らず,ひとはパッとものごとの「真贋」を嗅ぎとることがある.マニュアル社会で威力を発揮するこの「目利き」こそ,オウムからイチローに至る人間の頭と心身の秘密が食い込む領域だ.刺激に満ちたエッセー.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tama
7
図書館本 著者検索で 赤瀬川ファン エッセイ本で、現代美術家の目と脳みそから作られる「表現」「発想」が妙に判り易い。「現代美術と鼻の関係」の章は見事な一文です。感覚ではなく頭の領分でみるのが現代美術、というのを美術史を少々織り交ぜつつ語ったりして行く。現代美術作品の本物贋物の見分けが出来る目利きはいるのか?「誰が作った」の証明だけが作品存在の保証である。現代美術の世界では「鼻が利く」必要があるが「なんとなく小狡い」感じを受ける、との文章を見て思わず両手を上げて賛成!! 2019/06/04
Koki Miyachi
3
超芸術トマソン、屋外観察学、ライカ同盟など、好奇心旺盛な筆者が綴る目利きのヒミツ。好奇心の強さとそれを深堀りする粘り強さが目利きを育てるようだ。アート、デザイン、カメラ、時事問題、日常生活の話を自在に行き来しながら、原平流目利き考を楽しむ。2014/05/18
ao-king
1
目利きに関するエッセイ。目利きというと美術品のことをパッと思い浮かべるが、それだけでなく生活のすべての中に目利きという概念が存在することを改めて意識させられた。特にちょうど読んだのが参院選の時期で、選挙に関する意見にはなるほどと頷かされた。2013/07/24
ライム
0
目利きになるには近道がある訳ではなさそう。良いものを多く見て目を鍛える、しかも身銭を切って。その鍛える過程は、芸術品を鑑賞する行為と似ている?芸術は感覚野放しのサファリランド、でもその技術の修練の跡はきちんと頭で査定するし、作家の作風の変化は、作家個人とは別の生き物として見て楽しむ、それが出来れば目利き力が付いたと言えそう。参考になりました。2022/07/03