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出版社内容情報
1983年から1年にわたるメキシコ滞在の記録.前代未聞のインフレ,中世的な農村,インディヘナの祭.さまざまな出会いを生活者の目から描きつつ著者は考える,伝統文化と工業化の落差について,資本主義的発展の意味について.
内容説明
エル・コレヒオ・デ・メヒコで,日本の工業化の経験について講義をした1年間の旅と思索.年間70万に達するメキシコ・シティへの人工流入,100%をこえるインフレの重圧…発展途上国の底辺の生活と労働をみつめるところから,旅は始まった.いくつもの近代化政策がそこにおいて座礁した矛盾を解きほぐしつつ,その奥にあって生きて働く歴史的な重層構造を,著者の目は捉えていく.インディヘナの祭や集落におちる西欧中世の影,前近代的な伝統産業と米系資本の先進技術,両者の構造的な「落差」が社会的緊張をたえず生みだす.その圧力の下で屈曲を余儀なくされる工業化の意味を考えること,それは日本の近代化のプロセスを照らしだす鏡でもあった.
目次
ペドレガルに住む人びと―溶岩地帯の労働と生活
「メキシコの治安について」―大使館通達とメキシコ社会
殉教の壁画のある町で
パタンバンの祭―二つの空間の接点で
インフレを生きのびる
パラカイディスタの街
労働集約的技術を求めて―工業以前の社会の工業化
旅のノートから―落差のある構造について
軍政と経済危機と
地震のメキシコを想いつつ―発展途上国にとって工業化とは何か