内容説明
近代の水源=「啓蒙」の忘れられたダイナミックスを再生する。メディアの革命とコスモスの崩壊に面した転換期。世界像を更新しようとする人間性の不思議を追い、テクストと図像と映像のコラボレーションで描く、失われた「啓蒙」の物語。
目次
1 世界図絵の変容と近代(巨大量、収集、分類―世界図絵のなかのフランス『百科全書』;過剰・集積論―記憶術、ベーコン、『百科全書』、そしてアーカイヴ;世界図絵のなかの水車)
2 『百科全書』の図版と一八世紀(整合と惑乱;図版のなかのフランス一八世紀)
3 理性の夢(繁殖する自然―博物図鑑の世界;一八世紀の夢―気球の旅)
著者等紹介
鷲見洋一[スミヨウイチ]
1941年生まれ。専攻、18世紀フランス文学・思想・歴史。慶應義塾大学大学院博士課程修了。モンペリエ大学大学院博士課程修了。慶應義塾大学文学部教授、同大学アート・センター所長を経て、中部大学人文学部教授。慶應義塾大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬参仟縁
31
著者が『恩讐の彼方に』一編で忘れられないのは、ラストに至るまでの21年間、毎日槌を振るいつづけた市九郎の、その壮大な徒労、空虚な反復作業の巨大さ、途方もなさであった(4頁)。『恩讐の彼方に』の契機とは赦し、涙、感動。蓄積、継続で獲得される世界を、世間では努力、執念の結晶と呼ぶが、仮に世界図絵と呼びたいという(7頁)。概念知(類推や飛躍で一を聞いて十を知る切れのいい方法、58頁)と身体知(8頁)。勉強における集中:別世界に向けて、自分を弱く無防備にして彷徨いだしていく、投げやりな試み(13頁下段)。 2016/04/21
春ドーナツ
15
18世紀→啓蒙主義→百科全書派→ディドロの文章の肌触りをいつか感じたいと思い、先日「絵画論」を読んだ。系統樹のように、鷲見(すみ)洋一さんの千ページ近い大著「編集者ディドロ」が視界に伸びる。ありがたいことに電子書籍化されていたので挑戦する。今度は鷲見さん自身に興味を抱く。読書とは線的であり派生的なものですよね。啓蒙主義→百科全書派→極北→サド侯爵。というつながりで評価されていて、マゾッホとは異なり(ドゥールーズが論じているけれど)、サド20世紀再評価の意味内容をなんとなく察する。「閨房哲学」への接近予定。2024/11/12
黒い森会長
1
百科全書の図版について詳しい。本文の途中にコラムが入っている変な本。 初めて読むときは、コラムをとばす方が良い。 コラムは、研究者の生活が少しのぞけるので、面白い。 自然史や博物誌に興味があれば、読める。2012/01/27
ケニオミ
1
知人が著した本なので読みましたが・・・2011/09/01