出版社内容情報
古来ギリシアの哲学や科学の創始者と信じられてきたピュタゴラス.謎に包まれたこの伝説的人物とその教団のすがたを,錯綜する資料から洗い出す.最新の成果をもとに新ピュタゴラス主義に至るまでの概観を与える.地図・索引付.
内容説明
古来多くの証言によってギリシアの哲学や科学の創始者とさえ信じられてきたピュタゴラス。すでに始まりから謎に包まれていたこの伝説的人物とその教団のすがたを、さまざまに錯綜する資料・断片のうちから浮かびあがらせる。ブルケルトによる画期的な研究以降の新成果をふまえ、関連資料を丹念に紹介しながら、紀元前6世紀から新ピュタゴラス主義の復活に至るまでの概観を与える解説書。“始源”への欲望によって絶えず再生産され続ける伝説を、入念な資料批判によって一つひとつ突き崩す古典文献学・古代哲学史のスリリングな営みの現場へ読者を案内する。研究史概観、文献一覧、地図、索引つき。
目次
第1章 問題と資料
第2章 政治家ピュタゴラスとピュタゴラス主義の歴史的展開
第3章 奇跡を行なう人ピュタゴラスとその結社の組織
第4章 ピュタゴラスの知
第5章 ピュタゴラス派の哲学
第6章 最後のピュタゴラス派
第7章 新ピュタゴラス主義
第8章 結論
感想・レビュー
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evifrei
9
最初に自身を哲学者と称し、哲学(知への愛)を説いたとされるソクラテス以前で著名な哲学者の一人、ピュタゴラスについての一般向け書籍。ピュタゴラスはイタリアを中心に活動した事から、同じく最古の哲学者アナクシマンドロスに比してイタリア派と呼ばれる。政治家・数学者など多数の顔を持つが、近年では最も重要な側面は輪廻転生を唱える宗教家としての面であるとされる。彼の哲学でいう『知の渇望』も抽象的で、プラトン以後の理解に依存する点もある様だ。またプラトン主義はオルフェウス教とピュタゴラス主義の影響を強く受けているらしい。2020/01/28