出版社内容情報
染織家・随筆家として知られる志村ふくみ。まもなく白寿を迎える著者がこれまで綴ってきた数多くの随筆の中から特に大切にしているものを厳選、「私」「仕事」「思想」の三本柱で構成し、この稀有な作家の遥かな歩みを一望する決定版随筆集。著者の滾る情熱と、思索の到達点がここに。(解説 志村昌司、写真 上杉遥)
内容説明
染織家・随筆家として独自の境地を切り拓いてきた志村ふくみ。白寿を記念し、多くの読者を惹きつけてきた膨大な作品の中から著者自身が選りすぐった五十三本の随筆で全体像に迫る。
目次
1 私(母との出会い・織機との出会い;兄のこと―その日記より;はじめての着物 ほか)
2 仕事(ちよう、はたり;色と糸と織と;糸の音色を求めて ほか)
3 思想(求美則不得美;草木の生命;色をいただく ほか)
著者等紹介
志村ふくみ[シムラフクミ]
1924年、近江八幡生まれ。文化学院卒業。1956年頃から染織を始める。90年、紬織で重要無形文化財保持者に認定される。93年、文化功労者。2014年、京都賞受賞、15年、文化勲章受章。著書に『一色一生』(求龍堂、大佛次郎賞受賞)、『ちよう、はたり』(筑摩書房)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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trazom
106
私は志村ふくみさんの随筆が大好き。何より日本語が美しく自然への謙虚さと芸術に対する強い意思に心打たれる。53本を私/仕事/思想の3章に纏めた自選随筆集。複雑な家族関係の少女期、結婚生活の破綻などを経て辿り着いた染織と紬織の世界の深さに圧倒される。藍建ての奥深さ、襤褸織の価値、色彩論の妙…。私は「色をいただく」という志村さんの言葉が好きだったのに、志村さんは「もういい、その言葉は済んだ。いつまで自分をそこに縛り付けているんだ。もっと考えよ、いただいてばっかりいて、その先どうするんだ」。やっぱりこの人は凄い。2023/07/20
双海(ふたみ)
10
染織家・随筆家として知られる志村ふくみ。まもなく白寿を迎える著者がこれまで綴ってきた数多くの随筆の中から特に大切にしているものを厳選、「私」「仕事」「思想」の三本柱で構成し、この稀有な作家の遥かな歩みを一望する決定版随筆集。著者の滾る情熱と、思索の到達点がここに。簡素にして美しい装幀にも注目。2023/11/20
妖湖
2
図書館リクエスト本。染織家として志村さんの名前は知っていたが、著作を読むのは初めて。志村さんが草木染め、平織りにこだわって、ひたむきに染織の道に取り組んだ来られたことが言葉の一つ一つから伝わってきた。「経糸は空間であり、伝統であり、思考である。緯糸は時間であり、現在であり、感情である。」織物が植物の色彩と織り手の心の対話から生み出された偶然の生成物なら、それは色の純粋芸術としての抽象画と通じるものがある気がする。2023/09/29
おなす
1
正直、私にはちょっと難しくて読んでも頭に入ってこなかった。読解力が必要な一冊だと思います。2023/09/01