出版社内容情報
人の老いと病い、死に向かう姿を見つめ続けて四〇年の医師が診た、見た、聴いた、生きるあったかエピソード一二〇話。
内容説明
生きている。ここで、そこで、一人ひとりがあったかい。人の老いと病い、死に向かう姿を見つめ続けて40年の医師が診た、見た、聴いた、生きるあったかエピソード120話。
目次
1(湯たんぽ;おしっこっと鼻水;ランドセル ほか)
2(共にまどろむ;微妙な言葉たち;焼きそば屋さんがきた ほか)
3(ぬく飯;夜中の地震;桜療法 ほか)
著者等紹介
徳永進[トクナガススム]
1948年生まれ。内科医。京都大学医学部卒業。鳥取赤十字病院内科部長を経て、2001年鳥取市内にホスピスケアを行う有床診療所「野の花診療所」を開設。1992年地域医療への貢献を認められ第1回若月賞を受賞。著書に『死の中の笑み』(講談社ノンフィクション賞受賞)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しゃが
19
私の願いは野の花診療所の徳永医師の看取りで終わりを迎えたい。故郷でもなく住む場所からは遠く離れているが、周りの人には最後の我儘と許してもらおう。鳥取で後見人的な人を探したい、そんな思いがより強くなった一冊。臨床の中で、病・老い・死に向かい合い、生きようとする人たちの温かいエピソードにジーンとし、死の瞬間もあるがなぜか癒された。そして病む人と寄り添う人たちに一つとして同じ看取りかたはないのだ。そのなかで徳永さんは心の通った処方箋をみつけてしまうのだ。また四季を通しての自然や人の営みを肌で感じたすてきな一冊。2015/09/03
ぷれば
6
鳥取の小さなホスピス病院で、臨床に携わる徳永医師のエッセイ120話。人の老いと病。死に向かう姿。生と死を別つ瞬間…。医師が見つめ続けてきたモノ、これからも大事にしていきたいコト、短いエッセイながら心にしみる。2015/08/18
Kaoru
4
迷惑かけてありがとう、たこ八郎さんの言葉。今、延命治療は望まなかった父が意志に反して、4か月。生きてくれてありがとうと言いたい。2019/05/28
ほう
3
在宅医療に携わっている医師のエッセイ集。日々接する患者さんやその家族、そして関わる人達のエピソードが温かい視点で描かれていて、涙無しでは読めない章が沢山ある。皆一生懸命生きてそして死を迎える。支えている筆者の「人に対する尊厳」や「敬意」を強く感じる。周りの皆さん、きっと良い影響を受けているのだろうなと思う。2018/01/11
かわけい
1
p27シベリアで捕虜として5年間暮らした人の話。「自分の意志が生まれました。なにくそ思って。人間、考えるもんです。負けるもんか思って」。捕虜は自分を殺し、抑え込んで生きるもの、と思っていた。「違うんですな。自分とは何か、って気づくんです。飢えや寒さ、暴力、いろんなものが目の前にある。どれも本物。朝起きたら、隣の人死んどるのもほんと。凍土で掘れない、土に埋めれん。火葬の木材はない。ぽいっと森に捨てる。「その切実感が面白かった。決めていく自分という人間、面白かった。「自分のことだけの人、他人のことを思う人。2016/09/13