出版社内容情報
1980年,光州事件-.政治犯として独房に監禁された男と,獄中にある男へ宛てた手紙を残して他界したひとりの女の暗い時代に咲いた切ない愛.18年後に出獄した男が向かったその先は,女との思い出の土地だった.
内容説明
その孤独で真っ暗な壁の中で、あなたは何を見つけましたか?一九八〇年代の軍事独裁政権の時代、政治犯として収監された男と、獄中の男へ宛てた手紙を残してこの世を去ったひとりの女の、暗い時代に咲いた切ない愛。現代韓国をリードする作家、黄〓暎が描く、80年代韓国民主化運動の青春。
著者等紹介
黄〓暎[ファンソギョン]
現代韓国で最も人気の高い作家であり、民主化運動のリーダーのひとり。1943年「満州」に生まれ、日本の植民地時代を知らない、いわゆる「ハングル世代」。1962年文壇にデビュー、1971年に発表した『客地』(1986年、岩波書店)で高い評価を得る。代表作に大河小説『張吉山』(全十巻)がある。またベトナム戦争に従軍した体験をもとにした『武器の影』(1989年、岩波書店)では、「戦闘なき戦争小説」という新しいモデルを提示し、アメリカと戦って統一を実現したベトナム人民の闘争を断固支持した。1989年に訪北。アメリカ、ドイツに亡命後、1993年、帰国。五年間の獄中生活を送り、1998年春に釈放された
青柳優子[アオヤギユウコ]
1950年、仙台市生まれ。仁荷大学校大学院博士課程国語国文学科課程修了。韓一長神大学校人文社会学部教員。専攻は朝鮮近現代文学
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感想・レビュー
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ウメ
4
70年代の韓国の民主化運動。日本の赤狩りを彷彿とさせる弾圧。社会の幸せを実現しようとする男と、今日の食卓を幸せにしようとする女。細々とした日常の連続、単純な毎日を営むことが人間にとって最も重要な事業なのかもしれない。2022/01/09
の
0
この頃現代の世界文学に凝っていて、じゃあお隣の国韓国ではどんな文学があるんだろうと思い、読んでみました。詳しくは下巻に書きますが、上巻を読んだ感じではいわゆる「韓ドラ」に近い韓国特有の恋愛観を持ちながらも(韓ドラはほとんど観たことないのですが)、20世紀の激動の時代をナイーブな立場に置かれた自国民の視点から振り返る「世界文学」の様相を呈しています。2011/01/18
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