出版社内容情報
「東洋のルソー」と謳われた兆民の思想の根底にあるフランス学とは何であったのか.日仏の資料を博捜し,綿密な考証をもって兆民の著作に絶えず現出する「フランス」をつぶさに検証し,その思想的営為を解明する.
内容説明
本書に収めるのは、昭和49年7月から翌年3月末日まで、中江兆民のフランス留学時代について現地調査に従事する機会を得て、主にパリ国立図書館で雑誌『政理叢談』の原典を探索する作業を中心的に行ない、持ち帰った結果を基礎として以後5年間に『文学』『思想』の両雑誌、および勤務する大学の紀要に相次いで発表した論考である。
目次
第1章 兆民研究における『政理叢談』の意義について
第2章 中江兆民のフランス―明治初期官費留学生の条件
第3章 『民約訳解』中断の論理
第4章 「東洋のルソー」中江兆民の誕生―『三酔人経綸問答』における『社会契約論』読解
第5章 「立法者」中江兆民―元老院の“豆喰ひ書記官”と国憲案編纂事業
第6章 中江兆民の翻訳・訳語について
《付録》中江兆民―『民約訳解』の周辺