出版社内容情報
大震災のあと、新年度最初の授業で、教師は学生たちに何を語ったのか。知が試されるとき、これから学びはじめる若者たちへの最初の大学講義をまとめたアンソロジー。思考の決着を許容しない巨大な災厄と、自らが拠って立つ学問とをどのように結ぶのか。教師たちの努力の多様性がもたらす〈知〉の跳躍を、ここに見る。
内容説明
大震災のあと、新年度最初の授業では何が語られたのか。学びはじめる若者たちへの大学講義をまとめたアンソロジー。
目次
1 問い、応える(“過ぎ去らない現在”から“はじまり”へ;傷跡の彼方に;ディアスポラに生きる;宙づりを生きる知のありかた)
2 知り、推し量る(放射能汚染と付き合う社会の到来;出来事の重みから考える;大災害のあとを生きる;歴史をつくるのは誰か―下放、すなわちスタイルの根底的転換=文体革命を!)
3 離れ、近づく(私たちのショアー;震災とトラウマのことば;私たちの「しま」を繋いだ波;なゐふる思想―震える群島の起源)
著者等紹介
今福龍太[イマフクリュウタ]
東京都生まれ。東京外国語大学大学院教授(文化人類学)
鵜飼哲[ウカイサトシ]
東京都生まれ。一橋大学大学院教授(フランス文学・思想)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
34
いかに巨大であれ有限な規模の防潮堤が与える安心は、結局、いつわりの安心にすぎない(12頁)。ディアスポラとは、単なる離散ではない。国家権力や支配によって離散を強いられた。緊張関係がある。国家から距離を置き、網の目をすり抜ける存在がディアスポラの民(59頁)。国家は国民を守るのではなく、国家のために国民に犠牲を強いる(60頁)。小出裕章先生に相談されたのは仲地重晴教授(102頁)。エレイン・スカリーという米国文学研究者は、痛みを考察した。痛みの本質は、言語化を拒み、言葉を破壊するところにある。2016/04/18
19
3
これは、3年たった今読むと、ちょっと衝撃です。あの時、このくらいの大事件だったのに、私たちはまた、あっというまに平和ボケ。ディアスポラについてレポートを書くために読みましたが、この津波直後の危機感とその時のレアな情報と想いは決して忘れてはならないと思いました。2013/11/18
竹薮みさえ
2
ずいぶん前に読んだのだが記録してなかった。ちゃんとした仕事をしようという意志と人間としてちゃんとしようという意志は矛盾しない。
himawarisun6
0
学問、いや哲学と言おうか。未曾有の大災害に見舞われた時、哲学は私達を救う糧になるのか(なったのか)を知りたくて思わず手に取った。 どうしようもない無力感と虚しさに暫く日常生活を送る事で精一杯だった。東北の人達とは比較にならないが、今振り返れば私も知らずに負った傷に苦しみ、親しい者同士で語り合う事で共有し少しずつ癒していたのだろう。 本書は哲学を始め様々なテーマで書かれ、非常時だからこそ知る事が大切だとわかった。自分の傷や苦しみを認め受け入れる事は弱さではないし、他者を思いやるためにも必要だと教えてくれた。
あけおちゃん
0
★☆☆☆☆.期待したほどの内容ではなかった,思ってたのと結構違った. タイトルの説明は冒頭になされているがそれでもやはり腑に落ちなかった.2018/05/29
-
- 和書
- 日本史の研究 〈新輯一〉