出版社内容情報
複合的なリスクを抱える若者たちをどのように支援すればよいのか。研究者・実践者らによる多角的な視点。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆう。
38
現在、社会問題となっている若者の貧困や社会的孤立について、社会的排除論をキーワードに論じられた本です。若者たちは学校から労働市場へと移行する際に、様々な困難を抱えています。また、若者が自己形成をし、発達するための学校を始めとした社会資源も、財界などが求める人材像に当てはめられ大きな矛盾を抱えています。青年期に移行するためには社会的な大きなリスクが伴う社会となっているといえます。本著は、その背景にある問題を論じると同時に、地域での実践も紹介され勉強になりました。公的責任で若者政策を築く重要性も感じました。2018/04/26
壱萬参仟縁
30
NEETの若者(中年はSNEP)は就労に距離がある者が半数。さらに半数は支援得ても就職できない。残る半数は訓練の継続を(14頁)。自己責任とは言わずとも、その結果が不本意なものになっても真摯に受け止めることとしている。結果平等は保証しえないが、機会平等を保証しない自己責任はあり得ない、あってはならない(長須正明教授38頁)。協同的な実践コミュニティへの参加を通した学習(76頁~)。教育から排除される過程で、他者への信頼、自分への信頼を失う。2015/12/12
kirinaka
3
トラウマ後の成長=PTG: Posttraumatic Growthと、苦しい体験をしたからこそ他人に尽くす意志が生まれる=ABS: Altruism Born of Sufferingのアイデアを引用しているところは興味深い。もともとは犯罪被害者研究かららしいのですが、弱者だったり排除の体験をした当事者が、自身の経験を活かして同じ状況で苦しんでいる周りを助けられるのではないか、というポジティブさ。それは同時に、見当違いな支援をしえる「援助する側」への批判でもあるわけで、外と内の協力体制が大事だと再認識。2016/10/26
天音春子
3
図書館本。 私も人生をドロップアウトしていた経験があるので排除される側の気持ちは痛いほどわかる。 印象に残ったのはトラウマを前向きに活かして他者を助けたいという動機に繋がることは鮮烈だった。 また、幼少からの環境でその子の未来が決まるので、救える子は早く救うに越したことはない。 大人になってから矯正するのはとても大変だ。 2016/10/21
saiikitogohu
0
佐藤洋作論文より「若者たちが働けず立ちすくんでいる状況は、…学校からも労働市場からも排除され孤立化していく過程のなかで、働くのに必要な教養や技術だけでなく、人間関係形成能力を体験的に学び身に付けられなかった結果に他ならない。」「①コミュニケーションが築けず孤立感がある、②評価的まなざしに縛られている、③自信が持てない、④何かをやりたいという意欲が弱い…この対人関係が開かれない、自信をもって社会に参加できない心理状態こそ、若者の「生きづらさ」と言える」(69)2018/01/02