内容説明
「サバルタンは語ることができるか」などによってポストコロニアルの代表的理論家と目されるスピヴァクへのインタヴュー。自らの知的形成過程、サバルタンの意味とそれを語ることの政治性、そして社会変革の唯一の方法と考える教育の、南アジアにおける自らの実践について、率直かつ平明に語る。現代における行動する知識人の生々しい姿。
目次
家
抵抗として認識され得ない抵抗
知識人としてきちんと答えたと言いがたい回答
付録 家―私的な会話
著者等紹介
スピヴァク,ガヤトリ[スピヴァク,ガヤトリ][Spivak,Gayatri Chakravorty]
1942年、インド西ベンガルのコルカタ(カルカッタ)に生まれる。カルカッタ大学卒業後、1961年にアメリカ合衆国に留学。現在コロンビア大学人文学教授
大池真知子[オオイケマチコ]
お茶の水女子大学大学院博士課程後期修了。専門はアフリカ文学、ジェンダー学、広島大学大学院総合科学研究科准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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白義
11
「サバルタンは語ることができるか」の著者であり、第三世界フェミニストの旗手……という言葉からは全く異なったイメージの発言が飛び出す意外性に満ちたインタビュー集だ。なにせ、アメリカで公にサリーを着続けてきて周りから称賛されたことを「単にこれまでいつも着てきたからというだけ」といなし、自分に向けられる女性だから、インド出身知識人だからという期待をもすり抜けていく。土着性を重視しながらその本質主義に居直らず、複数の家を持つことが重要だと説いていく。その後のサバルタン問題の再定義も含め、どれも示唆に富む対話である2018/05/12
Ecriture
6
スピヴァクは「自分はサバルタンだ」と名乗るものは「まったく犯罪的に間違っています」と言う。本当のサバルタンは自らをサバルタンだとは言えない。「サバルタン」、「戦略的資本主義」、「惑星思考」などなど、スピヴァクの言葉を我有化するファンや取り巻きが多いのには問題もある。日本でも安易な惑星思考のシンポジウムやってるし。スピヴァク本人はもうそんなこと言いません。ディモックとスピヴァクでは違う。2010/11/16
あなた
3
「私はベルイマンの映画がいっさい見られなくなった。金持ちの心の問題をこれ以上見ていられないと言った。でもこれが、ディアスポラに対する私の態度なのです」と彼女が語るときに「審美眼」は決して無垢なものではなく、階級の印が鋭く刻まれたものであることを認識し、思わず無邪気でいた自分に動揺してしまう。まなざしそれ自体に階層性があること。そして眼差しはブルデューがいうように文化資本として引き継がれていくこと。2010/07/24
メルセ・ひすい
2
10-23 赤28 変!?・真実の生きた言葉。。フェミニズムにコミット サバルタン論! インタビューから入る。印度のエリートで生を受け米国留学…なんでラディカルに!ポストコロニアルの代表的理論家スピヴァクが、自らの知的形成過程、サバルタンの意味とそれを語ることの政治性、そして社会変革の唯一の方法と考える教育の、南アジアにおける自らの実践について率直に語る。2008/08/16
ぱ
1
マケドニアでのインタビューはわかりやすく、ためになる記述も多かったが、コルカタともう一つのやつはちっとも面白くなかった。そもそも会話になっていないような…?もともとわかりにくい話をされる方なんだなあと言う印象。2023/03/10