内容説明
“国際化”がなぜ平和ではなくて摩擦をもたらすのか?豊富な情報がなぜ人の心をかき乱すのか?物質の豊かさにもかかわらず精神の飢餓が拡がるのはどうしてなのか?このような現実を前にしながら専門化し、狭隘化した今日の社会科学は、時代を捉える眼を曇らせ、市民のこうした問に応える活力を失っている。本書は、社会科学誕生の原点にいま一度立ち返り、著者長年の研鑚の結実たる、生産諸力の重層的な体系としての市民制社会という視角から、危局に向って加速する現代社会の複雑な構造を総合的に捉え直し、閉塞する時代の闇を透視しつつ、新たな社会への展望を提示する。
目次
第1部 出口はあるか(イデオロギーの時代は終わったか;政治と経済と教育の世界に生きているということ;出口は入口、入口は出口)
第2部 貫く棒の如きもの(生産力の思想と構造;思想から科学へ架ける橋;磁場としての風土;技術の視座)
第3部 市民制社会とイデオロギー(回顧と展望のために;労働過程から労働関係へ;生産関係をどう受け止めるか;生産力の近代的体系について;イデオロギーは生きている;市民主義の超克)
平和の創造をめざして