内容説明
ゲーテ文学の根底にある豊饒な世界観は、その生涯を賭けて探究された自然学に結晶している。動物と植物の形態学、色の情緒作用を強調した色彩論―詩的直観によって支えられたゲーテの自然観は、近代科学が理性を細分化し方向を見失う中で、アレゴリカルな洞察力を甦らせる。手稿など図版多数を収め、ゲーテが構想した自然学の全容を示す。
目次
序 ヨーロッパ諸学の危機と対象的思惟
1 「見る」ことの科学(生命の泉―クリストとアンチクリストのあいだ;永遠なる大地への回帰―「冬のハールツの旅」;神即自然―スピノザとの出会い;われまたアルカディアにあり―自然と古代と自己;現象に、あくまでも根本現象に―シラーとの交友)
2 形態学(形と力;同一性と多様性;進化論と反進化論のあいだ)
3 色彩論(光学か色彩論か;色彩環と有機的な宇宙;教示的理性から歴史的理性へ)
4 科学と形象的言語