偶然性の精神病理

偶然性の精神病理

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  • サイズ B6判/ページ数 218p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000004428
  • NDC分類 493.7
  • Cコード C0010

出版社内容情報

人間を人間たらしめているものは何か.こころの医学として精神医学はいかにあるべきか.独自の方法で精神医学の世界に大きな峰を形成してきた著者の新しい思索の展開を示す刺激的な「生きることの哲学」.

内容説明

こころの医学として精神医学はいかにあるべきか。偶然の結果としての個々人の生と、かけがえのない必然として生きる個々人の絶対的な生の絡み合いをどう理解すべきか。精神現象の本質に迫るべく、フロイト、ニーチェ、フッサール、ハイデッガー、西田幾多郎、九鬼周造らの議論を下敷きにしながら、また遺伝子や進化論、生命システムの問題をも俎上に乗せつつ、「時間」論の延長上に構想されたオリジナルな生命の「哲学」。

目次

1 序論
2 真理・ニヒリズム・主体
3 偶然性の精神病理
4 タイミングと自己
5 時間の間主観性
6 無意識と主体性―遺伝子のゲシュタルトクライス

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

YO)))

13
「生き生きした現在の間主観的な主体性」を、音楽の合奏を例に語る部分に感銘を受けた。曰く、自分が能動的に産出する音と他の奏者が産出する音の受動的な知覚とが、混然と「ひとつのアクチュアリティ」に溶け込んでいき、匿名的で間主観的な世界経験が構成される。そこには過去のすべての音が積分的に統合され、過去参照と未来参照が可能となる「場」もまた形成されるが、このような「生き物として絶えず行為している人間存在が、変転する世界と生命的・行為的に出会い続けている接触面」においてこそ主体が成立し、時間もまた流れ出すのであると。2024/04/14

amanon

0
これまで読んできた著者の他の著書には殆ど言及されてなかったニーチェについてかなりの言及が見られたのが印象的。特に力への意志という言葉が幾度となく繰り返されるのが気にかかる。またニーチェだけに限らず、西田、フッサールなどの哲学者の思想について語られる論文がいつもにもまして目に付いたように思われる。その中でもやや異彩を放っていたのが最後の「無意識を主体性」。この論文では主に生物学、遺伝子学について語られており、このあたりについては福岡伸一氏のユニークな著述を踏まえたらもっと面白くなりそうな気がする。2012/08/28

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