出版社内容情報
外来文明と在来文化,武士的モラルと農民的エトス,都市的センスと農民的伝統などが互いに影響し合うなかで推し進められてきた日本近代化の経緯を究明し,同時に,近代化に日本特有のゆがみを伴った点をも考察する.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
126
昔からこの分野の本としては丸山真男の本と同じくらいに読んでいます。政治学なのですが、日本独特の精神的な基盤分析を行いつつ、日本の政治体制がどのような道筋をたどってきたかを柳田民俗学の手法を取り入れています。私にとっては非常にいい本であると思います。2017/02/19
てれまこし
5
神島二郎もまたその青春時代が戦争に刻印された世代。戦後の健忘症的左旋回にも敗戦の責任をとらない天皇制にも裏切られたと感じている。丸山真男と柳田国男に師事して、そうした結果に導いた無意識の精神構造を掘り出そうと試みる。それはまた、自身の精神的遍歴を見つめ直すことでもあり、精神構造を客観化により社会変容を促そうとするものでもあった。西洋との対比で日本に欠けたものを探す丸山ら近代主義者に対し、神島はポジティブな日本文化というものを求める。柳田に倣って、神島は自然村を日本人の無意識の世界観の母胎と見る。大先輩だな2019/10/15